2003年1月20日

「映画タイトルあれやこれ」 第2弾

 

クリムゾン・リバー
原題:The Crimson Rivers 制作年:2000年


 作品としては今ひとつだったが、このタイトルのcrimsonには「怒りなどで顔が紅潮した・血なまぐさい」の意味がある。ストーリーはバラバラ殺人と子供の墓が荒らされるという、一見関連がなさそうに思える二つの事件を二人の刑事(一人はジャン・レノ)が追っていくサスペンスものだった。この作品はフランスで制作されており、同名の小説はベストセラーとなっている。  
 ところで、クリムゾンタイド(Crimson Tide)という潜水艦を舞台にした作品もあった。同じクリムゾンでも、こちらの作品は楽しめた。アメリカの戦略原子力潜水艦アラバマ内で核戦争の危機に直面した男たちの状況が、艦長(ジーン・ハックマン)と、艦長と対立する副官(デンゼル・ワシントン)との緊迫した描写により、よりリアルにシリアスに描かれていた。

 

●「バーティカル・リミット
原題:Vertical Limit 制作年:2000年


 作品舞台は世界第2の高峰であるヒマラヤ、標高8千メートルのK2だ。作品の山場はニトログリセリンによる雪崩のシーンだった。

 原題のverticalは「垂直の」という意味だ。文字通り垂直に切り立つK2登頂への限界に挑むということだ。ちなみに平行はparallel。この作品はそれなりに楽しめたが、雪山を舞台にした作品では、「アバランチ 雪崩」「ザ・チケット 不時着機を救え!」「アバランチ・エキスプレス」「ザ・クライマー 彼方へ」が気に入っている。

 

英雄の条件」 
原題:Rules Of Engagement 制作年:2000年


 ここでのengagementは、交戦・戦闘の意味だが、実にうまい邦訳をつけたものだ。本来Rules Of Engagement とは、米海兵隊員が作戦遂行中に従うべき「交戦規定」のことを言う。強力な殺傷力のある武器を常時携行している海兵隊員の行動は、この規定によって厳しく管理されている。 
 作品は、この交戦規定に違反したとして軍事法廷で裁かれることになるチルダーズ少尉(サミュエル・L.ジャクソン)と彼を弁護する28年来の戦友、ホッジス少尉(トミー・リー・ジョーズ)との友情、信頼を描く男の物語だ。

 命がけで任務を遂行してきたすべての海兵隊員の誇りと、友情をかけた孤立無援な法廷闘争に臨む2人の主人公の姿は、まさに英雄といえるものだった。

 

白い刻印」 
原題:Affliction 制作年:1998年


 この邦訳も素晴らしい。観てみようと思わせるような文学的格調高さが漂っている訳だ。ただし、作品としては今ひとつだったが。
 舞台は雪深い静かな田舎町。そこで起こる狩の最中での凶弾による死亡事故。家族関係がすでに破綻している一家の悲惨な結末が、雪の白い静寂さに包まれながら徐々に近づいてくる。
通常白は安定、平和を象徴するが、作品ではすでに家族は破綻している。白い雪の中で静かに物語が展開されていくのは、ラストで燃えあがる赤い炎、つまり憎悪の根深さをより一層強調させるための演出方法だったのではないだろうか。赤い炎は白い静寂さとはとても対照的であり、いっきにラストを引き立てていた。また、雪はいずれ溶けて消える。雪中の舞台設定がこの家族をありありと物語っていた。
 原題のafflictionは、苦悩という意味だ。まさに、息子たちの苦悩、家族の苦悩、恋人の苦悩など様々な苦悩が静寂の町に重く澱んでいた。

 

ジーパーズ・クリーパーズ
原題:JEEPERS CREEPERS 制作年:2001年


 jeepersには、驚きや熱狂を意味する、感嘆詞の「おっ!・わっ!・すごい」などの意味があり、creeperには、地面を這う動物や人、鳥のキバシリなどの意味がある。この映画を観たのは、製作総指揮フランシス・フォード・コッポラとあり、いわゆる"コッポラ"ブランドに惹かれたからだった。
 内容は23年ごとに人々がいなくなる不気味な都市伝説だ。ジャンルはホラーに入る。理不尽にも怪物の犠牲になる主人公だが、理屈がないだけ恐ろしい仕上がりになっていた。アメリカでの10万人あたりの殺人発生率は7%くらいのようだが、その中にもこの映画のような都市伝説に巻き込まれた被害者がいるのかもしれない。もしかするとJEEPERS CREEPERSのような怪物は、案外あなたのすぐ側にいるかもしれない。

 

●「U.M.A レイク・プラシッド
原題:Lake Placid制作年:1999年
 作品は、人間が体長10メートルの巨大ワニと戦うパニック映画。まあ、娯楽として楽しめた。


 邦題のU.M.AはUnidentified mysterious animalの略。ただし、この呼称は日本だけのもので、海外の場合、一般的には「モンスター」「ミステリー・アニマル」と呼ばれている。また、1983年に設立された海外の国際未知動物学会では「ヒドゥン・アニマル」と読んでいる。この学会の会長は、ベルギー出身でフランス在住の動物学者ベルナール・ユーベルマン博士。副会長はシカゴ大学生物学教授ロイ・P・マッカル博士。ユーベルマン博士は、未確認動物の調査・研究を未知動物学(Cryptozoology/クリプトズーオロジー)という学問分野として捉えることを提唱している。
 一方世界で認知されている最も有名な不思議なものといえば、UFO(unidentified flying object)だろう。ちなみに、ufologyといえば、ユーフォー学、未確認飛行物体研究のことを言う。
 真偽の程はともかく、実に多くの未確認動物が世界のあちらこちらで報告されている。一部になるが以下羅列する。


アルマス(コーカサス地方の獣人)

イエティ(ヒマラヤの雪男)

ビッグフット/サスカッチ(北アメリカの獣人)

ヒバゴン(ヒマゴン・クイゴン)(広島県に現れる獣人)

モノス(ベネズエラ奥地に棲む獣人)

野人(中国の獣人)

ヨーウィ(オーストラリアに棲む獣人)

オラン・ペンデク(インドネシアの類人猿?)

スカンク・エイプ(悪臭を放つマイアミの獣人)

オハイオ・グラスマン(オハイオの森林地帯に現れる獣人)

ウォーター・ボベジャン(南アフリカの獣人)

イッシー(鹿児島県池田湖の謎の水棲生物)

オゴポゴ(カナダ、オカナガン湖の水棲獣)

キャディー(カナダのバンクーバー島沖合に現れる水棲獣)

クッシー(北海道、屈斜路湖に出没するUMA)

チャンプ(北アメリカ、シャンプレーン湖の水棲獣)

ニュー・ネッシー(トロール船の網にかかった謎の死骸)

ミゴー(南太平洋ニューブリテン島、ダカタウワ湖の怪物

モラーグ(イギリス、モラー湖の巨大水棲獣)

リーン・モンスター(アイルランド、リーン湖の水棲獣)

ジャノワール(トルコのワン湖に現れる謎の生物)

バンイップ(オーストラリアの奇妙な生物)

オラン・イカン(インドネシアに現れた人魚?)

ベッシー(エリー湖に現れる巨大水棲獣)

マニポゴ(カナダ、マニトバ湖の水棲獣)

モーゴウル(イギリス、ファルマス湾で目撃される水棲獣)

ホーウィック・モンスター(南アフリカの滝壷に棲む怪生物)

サンダーバード(ビッグバード)(アメリカの巨鳥)

クリッター(成層圏以上の高空に存在する未知の生命体)

ジャージー・デビル(アメリカ、ニュージャージー州の怪物)

バッツカッチ(有翼の巨大怪物)

スカイフィッシュ(空飛ぶ魚?)

コンガマト(アフリカの"空飛ぶトカゲ")

ジーナ・フォイロ(飛行する、謎の発光体と生命体)

ツチノコ(ヘビに似た、日本の代表的なUMA)

ナーク(タイの巨大ヘビ)

ヤマピカリャー(沖縄県西表島の大型山猫)

マピングァリ(ブラジルの巨大動物)

河童(現代でも目撃される日本のUMA)

モケーレ・ムベンベ(アフリカのテレ湖周辺に現れる怪獣)

ドーバー・デーモン(アメリカの怪生物)

ナンディ・ベア(東アフリカの人食い獣)

タッツェルヴルム(アルプス山脈に棲む"ヨーロッパ版ツチノコ")

ノヅチトカゲ(ツチノコにも似た日本の珍生物)

チペクウェ(エメラ・ントゥカ)(一本角を持つアフリカの怪獣)

コジェ・ヤ・メニア(チペクウェのもうひとつの姿)

エイリアン・ビッグ・キャット(モギィー)(神出鬼没の猛獣)

メガラニア(絶滅したはずの巨大トカゲ)

チュパカブラ(プエルトリコの吸血獣)

カエル男(カエルを思わせる謎の生物)

オルゴイ・コルコイ(ゴビ砂漠の殺人蟲)