2007年10月24日

 

 携帯電話を借りたことから物語が展開していく大人の恋愛映画、

 

「シェフと素顔と、おいしい時間」<DECALAGE HORAIRE>

2002/フランス 

監督:ダニエル・トンプソン 

主演:ジャン・レノ/ジュリエット・ビノシュ

 

 やはり携帯電話を使うシーンの演出がうまいなと思わせられた、こちらも大人の恋愛映画、

 

「ホリデイ」<THE HOLIDAY>

2006/アメリカ 

監督:ナンシー・マイヤーズ

主演:キャメロン・ディアス/ケイト・ウィンスレット/ジュード・ロウ

 

 いずれの作品も、携帯電話という小道具が、作品に小気味良いアクセントを与えている。


 「シェフと素顔と、おいしい時間」では、足止めされた空港でビノシュが携帯電話を借りたことで、結末のハッピーエンドにいたるのだが、まさにこのパターンこそ映画ならではの満足のいく展開。日常的にありそうでまずあり得ないこの展開が、物語性をよりいっそう強く感じさせるのだろう。この最初の発想で勝負がついた秀作だった。


 「ホリデイ」は、恋愛に失敗し落ち込んでいる二人の女性が、お互いの家を交換するホーム・エクスチェンジをしたことで、新たな恋人、そして人生観にたどり着くという物語だ。ここでも携帯がきらっと光るような憎い小道具として使われている。アマンダ(キャメロン・ディアス)は次第にグラハム(ジュード・ロウ)に好意を持ち始めるが、彼に頻繁にかかってくる携帯電話の相手が気にかかる。この携帯が伏線として物語の進行に大きな意味を持つ。そしてアマンダのある決意が恋愛の成就だけでなく、彼女自身も成長させることになる。両作品とも小道具である携帯電話が見事に活かされた作品だった。


 ところで、携帯電話がなかったら成立しなかったであろうとすぐに僕が思いつく○作品の筆頭は24」だ。CTU本部からジャックを助ける情報伝達手段はすべて携帯。まさに携帯時代ならではの作品といえる。

 

素晴らしき日」<ONEFINEDAY>

1997/アメリカ 

監督:マイケル・ホフマン 

主演:ミシェル・ファイファー/ジョージ・クルーニー

子持ちバツイチどうしのラブコメディ

 

ボイス」<PHONE>

(2002/韓国 

監督:アン・ビョンギ 

主演:ハ・ジウォン/キム・ユミ

携帯電話にかかってくる不気味なノイズと震える女の声を聞いたものに待っているのは死)

 

「ソウ」<SAW>

(2004/アメリカ 

監督:ジェームズ・ワン 

主演:ダニー・グローヴァー/ケイリー・エルウィズ

まるでカフカの不条理一連作品。理由もわからず拉致され、監禁、拘束された二人の男性に起こる見えない犯人からの肉体的、精神的拷問。そして意表をつくラスト)の作品も、携帯なくしては制作されることはなかっただろう。


 ちなみに携帯電話の前身は、第二次世界大戦中の1940年にアメリカ軍が使用したモトローラ製の「Walkie Talkie」といわれている。それから66年が経った昨年2006年時点で携帯をもつ人口は、全世界で20億と推定され、その生産台数は、中国(35%)、韓国(26%)、日本(6.2%)、台湾(6%)、マレーシア(2.9%)、シンガポール(2.1%)の順となっている(Wikipedia)。