2008年10月27日

 

 1997年、アメリカで9話放映されたTVドラマ、「スリープウォーカー」を一気に観た。ストーリーはひとことで言えば、荒唐無稽。なのだが、評価は○。


 作品は、悪夢に悩まされる患者の夢に最新テクノロジーを駆使した特殊な装置を使い、睡眠医療のスペシャリストたちが侵入し、患者の悪夢の原因を探り、果ては解決するというもの。
 誰しもが一度は夢の中に入り込むことができたらいいな、と思ったことはあるだろう。科学的には不可能であることは百も承知の上で、でも、できたらいいな、そんなことを思いながら観てしまった。


 人の夢に侵入するための装置は、はっきりいって、"しょぼい"のだが、「タイムマシン」やのような映画や漫画で見慣れたレトロな機械よりは、より現実的なものだった。わかりやすく言えば、宇宙船もので眠りから醒めるときのタイプカプセルタイプだ。患者のこめかみや顔の数箇所に電極らしきものが装着され、その脳波が分析される。夢の中に侵入した医療チームからの応答は、パソコン画面に文字が送られてくるため交信が可能。一方、侵入した医療チームへの支持は、音声によって現実の世界から送られる。 


 ここまで書けば荒唐無稽の意味を理解していただけるかと思う。9話しか制作されなかったことからも、視聴率は取れなかったためであろうと容易に想像がつくのだが、でも観てしまった。夢への侵入、まさにこのテーマに惹かれたから、というのが大きな理由。
 主演の医療班チームのボス、ブルース・グリーンウッドは「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記」の大統領役や「デジャブ」のFBI捜査官役を演じていた俳優。医療班チームの華はナオミ・ワッツ。そして装置を操る技術者役で登場するのが、「ER」でおなじみの受付に登場する、体のでかいジェリーこと、エイブラハム・ベンルービ。
 「スリープウォーカー 凶夢」の作品の中で、危篤状態の犯人の延命行為を救急車の中で医者が行うシーンがあるのだが、技術者であるジェリーが、なぜか医者以上に的確に延命方法を的確に指示する。そこで、救急隊員が、「どうしてしてそんなんに詳しいんだ、医者だったのか」、と彼に尋ねる。ジェリーは、「ERで働いていたことがある」、という台詞を、まじめな顔をしてしゃーしゃーとのたまう。このシーンはアメリカでも受けただろうな、などと思いながら、思わずニヤッとしてしまった。僕が観たエイブラハム・ベンルービの出演作品には「デンジャラス・ビューティー2」「Uターン」「ツイスター」「クオーターバック」があったが、彼の印象は、やはりERが一番。彼にはこのイメージしかわいてこない。あまりにもジェリーのキャラクターが強すぎる。


 全9話と短いシリーズではあったが、心理学や医療に関する会話が多分に盛り込まれていたので僕的には楽しめたドラマだった。せめて18話ぐらいまで作って欲しかったと思うが、「ミレニアム」「Xファイル」シリーズを手がけてきたクリス・カーターの脚本兼監督で続編を制作してもらえたら、さぞグレードアップすることだろう。