2008年12月12日
タイトルに惹かれて
「白い記憶の女」
<THE GIRL IN A SWING>
1988/イギリス
監督:ゴードン・ヘスラー
主演:メグ・ティリー/ルパート・フレイザー
を観たのだが、なんとも不思議な香りが漂う作品だった。ストーリー自体がミステリアスであることはいうまでもないのだが、それは主演のメグ・ティリーが醸し出すなんとも退廃的なけだるさと小悪魔的な妖艶さがあってのこと。
どこか陰のある彼女の精神は、高揚と鬱を繰り返す。日常生活でも不思議な現象が頻発し、彼女の不思議な世界へと夫も引き込まれていく。そのような意味では、現実的な世界を描いた作品ではないともいえるのだが、それでもリアリティを感じてしまうのは、やはり彼女の精神状態を僕自身が理解してしまっているからだろう。彼女の精神は、ある過去の負の出来事により重い十字架を背負ってしまい健全な状態に戻ることができないでいる。そのような状態の中で、一時でも逃避できる選択肢が、偶然の出会いと結婚だった。しかし、その選択も一時の逃避に過ぎず、過去の記憶を消し去るにはいたらないばかりか、幸せを掴んだことにより、さらに呵責の念に苛まれるようになっていく。
この状況を僕は次第に理解し、彼女の苦しみの根源である核心に触れていく。ゆったりとした時間軸の中で、彼女の悲劇が進行してくシナリオは秀逸だ。
ハッピーエンドになってほしい作品だったが、もし、そうしてしまったならば、彼女の配役は適当ではなかったであろうし、また、彼女の心中を軸に描く作品であったからこそ、なんとも不思議な作品になったのであるから、仕方がない結末だったと言えるだろう。
主演女優のメグ・ティリーの作品は何作か観ている。「フォーエバー・ロード」の活動的な彼女もよかったが、僕の中での軍配は今回の作品に上がった。
スリープ・ウィズ・ミー (1994)
堕ちた天使たち(2) (1993)
ボディ・スナッチャーズ (1993)
フォーエバー・ロード (1992)
黄昏のチャイナタウン (1990)
マンディのために… (1990)
恋の掟 (1989)
白い記憶の女 (1988)
マスカレード/甘い罠 (1987)
オフビート (1986)
アグネス (1985)
インパルス!暴走する脳 (1984)
吸精鬼/ワン・ダーク・ナイト (1983)
再会の時 (1983)
サイコ2 (1983)
テックス (1982)
フェーム (1980)