2003年12月13日

子供の頃、空を飛べたらばどんなに楽しいことだろう、と思い、何度も夢で空を飛び宙に浮いた。その感覚はなんともいえないほどエキサイティングでワクワクしたものだったことをよく覚えている。だが、最近は空を飛び宙に浮く夢とはすっかりご無沙汰している。
 先日、街を歩いていたら、ビデオが1本80円で販売されていた。大した作品はないだろうと思いながらも、店を覗いてみた。すると80円のほかにも180円のコーナーもあり、本数は比較的多い。もしかして、これはいいかも、と思いなおし物色を開始した。

 20分後に見つけた作品は、

 

ミリイ 少年は空を飛んだ」<THE BOY WHO COULD FLY> 

1986/アメリカ 

監督:ニック・キャッスル 

出演:ルーシー・ディーキンス/ジェイ・アンダーウッド/ボニー・ベデリア

 

概要:13歳のミリイが越してきた家の隣に、エリックという同年の男の子が住んでいる。しかし彼は父母を飛行機事故で亡くして以来、ひと言も言葉を発しないし、主体的に行動することもない。ミリイはそんな彼の心を開こうと必死になる。ミリィとエリックの部屋は2回で5メートルほどの距離を保ち向かい合っている。毎日エリックは、空を飛ぼうとする動作を繰り返す。そして、ついにそのときが来る・・・

 

だった。

 この作品は昔観ており、僕のお気に入り作品のひとつだった。値段も80円と安いので、結局買ってしまい帰宅した。さっそくその夜観てみたのだが、以前ほどの感動はなかったが、やはり素敵なファンタスティツクな作品であることに変わりはなかった。もしかしたら、その日は空を飛ぶ夢を見られるのではと期待しながら就寝したのだが、僕が空飛ぶ夢を見ることはなかった。
 

 2003年の今年は、ライト兄弟による初の動力飛行からちょうど100年にあたる。そこで今回はミリイとエリックのような飛びかたではないが、初の動力飛行に成功したライト兄弟にスポットをあててみる。


 ウィルバーとオービルはすでに少年時代から機械製作が好きだったようだ。1892年(ウィルバー25歳・オービル21歳)には、2人で自転車屋を開業している。二人がキティホークの海岸で実験を開始したのは1900年。まずはグライダー1号機を制作するが試験飛行で失敗してしまう。翌年改良した第2号機でも再度失敗。そこで2人は空気力の測定気流の観察などを行い、ついにひとつの翼形を見いだす。それは複葉(主翼が上下2枚のもの)の翼とその前方に補助翼をつけた翼、幅9.75メートルのグライダーだった。そして、試験飛行は成功する。
 二人は、動力としてその頃発明されたばかりのガソリン機関を使うことにし、1903年夏、最初の動力飛行機「フライヤー」を完成させる。1903年12月14日の試験飛行は失敗したが、3日後の17日にオービルの乗った「フライヤー」は12秒間で36.6メートルの飛行に成功する。これが、人類最初に動力飛行機で空を飛んだ記録となる。この日二人は4回の飛行を行い、最後にウィルバーが260メートルの記録を作る。1908年12月11日には、ウィルバーが飛行時間2時間20分、飛行距離約125キロメートルという記録を作る。その後、二人はアメリカン=ライト飛行機制作会社設立するが、1912年兄ウィルバーは45歳で、弟のオービルは1948年に亡くなる。
 今では宇宙飛行は現実の物となった。ライト兄弟が生きていたらきっと行きたがったに違いない。兄弟たちが宇宙に行くことはできなったが、フライヤー号の一部が、2000年10月に打ち上げられたスペースシャトル、ディスカバリー号に積載されている。クルーのひとり、Bill McArthur宇宙飛行士が個人的な荷物として持ち込んだものだ。ライト兄弟の人類史上初の飛行機が初飛行をはたしたアメリカ・ノースカロライナ州は、McArthur飛行士の故郷なのである。さらにMcArthur飛行士は、その初飛行の離陸地点であるノースカロライナ州キティホークの砂も持ち込んだようだ。


 なかなか、粋で夢のある話だと思いませんか。