2003年12月14日

今日観た1本の作品は、チンパンジーが主役だった。ということで、今日の切り口はサルにしようと思う。
 その1本とは、手話で人間と意思疎通のできるチンパンジーが、セスナを操縦し空を飛んでしまう「飛べ、バージル/プロジェクトX」(1987/アメリカ 監督:ジョナサン・カプラン キャスト:マシュー・ブロデリック/ヘレン・ハント)だった。現実的には起こり得ないことが、映画では可能になるというファンタスティックなヒューマンタッチの作品だった。僕は結構好きです、このタッチ。
 チンパンジーと愛し合ってしまった人妻と、その家族の生活を実話を元にして構成しているのが、「マックス、モン・アムール」(1986/フランス 監督:大島渚 キャスト:シャーロット・ランプリング/アンソニー・ヒギンズ)。この作品については、こんな現実もあるのかという奇異な目で観てしまったことを覚えている。
 ゴリラが登場する作品では、「PLANET OF THE APES 猿の惑星」や「キングコング」が代表格だろう。そこまで有名ではないだろうが、マウンテン・ゴリラの保護救済に力を注いだ女性学者ダイアン・フォッシーの後半生を描いた「愛は霧のかなたに」(1988/アメリカ 監督:マイケル・アプテッド キャスト:シガニー・ウィーバー/ブライアン・ブラウン)もよかった。エイリアンと戦う印象がどうしても抜けないシガニー・ウィーバーの落ち着いた静かな印象は、なかなか新鮮だった。
 サンフランシスコに実在する手話のできるゴリラをモデルにした作品の「ケイティ」(1995/アメリカ 監督:ジョン・グレイ キャスト:ウィル・ホーネフ/ヘレン・シェイバー)では、人間と動物との友情が成り立つことを見せてもらった。同様に、巨大ゴリラのジョー(キングコングほどではない)とそのジョーと子供の頃からいっしょに育ってきたジルとの友情物語である「マイティ・ジョー」もなかなか感動させてくれた。
 仲のいい友達のような存在としてオランウータンが登場していたのは「ダーティファイター」(1978/アメリカ 監督:ジェームズ・ファーゴ キャスト:クリント・イーストウッド/ソンドラ・ロック)。お茶目な演出が好きなクリント・イーストウッドだからこそ、オランウータンの存在が余計に活きた。
 今日、初めて気がついたことがあった。「飛べ、バージル/プロジェクトX」では、主演のチンパンジー、バージルの顔がアップされ物語はエンディングを迎える。そのシーンでエンドクレジットが流れ始めるのだが、最初に流れたクレジットは、主役10匹のチンパンジーたちの名前だった。さらに、そのクレジットをよく見ると、Virjil played by Willie/Goofy played by Okko のようになっていた。つまり、登場したチンパンジーたちの本名(なんと呼ぶのがいいのだろうか?)が最初に流れていたのだった。今までも動物が主役の作品は数多く観てきたが、このようなクレジットにはまったく気がつかなかった。しかも主役の人間たちよりも先に流れていた。しかしだ。このクレジットを観たとき、思わずにんまりしてしまった。とてもスマートとだと感じたし、なおかつ暖かい気持ちにさせられた。どうやら、監督の意図にまんまとはまってしまったてようだ。
 映画は最後の最後まで仕掛けが用意されている。だからこそ、最高のエンタテイメントと呼ぶことができる。そんな映画が、やっぱり好きなんですね、僕は。