2013年12月28日

 この数ヶ月、x△評価の作品が続いていたが、アメリカでTVドラマとして放映された「バレエ・シューズ」<BALLET SHOES>(2007年/イギリス 監督:サンドラ・ゴールドバッハー 主演:エマ・ワトソン/エミリア・フォックス/ヴィクトリア・ウッド)は、ほのぼのとした○作品だった。
  
 物語は、世界を旅している冒険家であり化石学者である彼の元に、突然姪っ子である少女を乳母が連れてくるところから始まる。時が経ち姪っ子も少女から大人へと成長した。そんなある日のこと、学者は旅先で見つけた孤児の赤ちゃんを連れて帰ってくる。それから2年ごとに赤ちゃんを連れて帰ってきたため、結局は姪っ子が後見人となり3人の少女を乳母と共に育てていくことになる。
  
 生活が楽でないこともあり、姪っ子は学者が留守の間空いている3部屋を貸すことにする。ダンスを教えている女性、数学と文学の初老の女性教授、妻子を亡くした30代の独身男性が新しい住人となる。ひとつの家を舞台にこれらの登場人物が、3人の少女たちの成長を見守っていくというストーリーだ。

 

3人の少女が目指す道は、バレエ、女優、パイロットと三者三様だ。作品にテンポが感じられたのは、少女3人それぞれの葛藤が緩急よろしく描かれていたことはもちろんだが、最大の理由は、後見人である姪っ子の少女たちへの深く大きな静的愛情が、元気はつらつとした少女たちの動的行動との対比により描かれていたからだろう。静的描写があったからこそ、動的描写が際立って見えたといっていいだろう。
  
 物語は少女3人の目指す道に灯りがともりテンポよく終章に近づいていく。しかし、取り残されている主人公がいた。姪っ子だった。このまま終わってしまったら、後味がよくない作品になってしまうのだが、そこは映画。誰もが嬉しくなるシナリオがきちんと用意されており、満足度は100%に達した。
  
 この姪っ子を演じているのは、1974年生まれのエミリア・フォックス。彼女はTVドラマを中心に活動している女優だ。彼女主演の映画はまだ観ていないので、来年は「フローズン・タイム」<CASHBACK>(2006/イギリス)を観てみたい。役柄は静的な主人公ではなく動的な女性を演じているようなので会うのが楽しみだ。