1996年2月14日

1970-1979年のアカデミー作品賞は次のとおりだった。
 「パットン大戦車軍団」「フレンチ・コネクション」「ゴッド・ファーザー」「スティング」「ゴッド・ファーザーPart2」「カッコーの巣の上で」「ロッキー」「アニー・ホール」「ディア・ハンター」クレイマー・クレイマー」。もちろん最高峰の作品賞をとれなかった映画のほうが多い。
 そこで、70年代に制作された作品で、僕自身も観た作品を、今回を含めて3回にわたって特集していく。
 
 まずは、ホラー部門からだ。
 「オーメン」「キャリー」「オードリー・ローズ」「サスペリア」「悪魔のはらわた」などが制作されているが、やはりピカイチは「エクソシスト」だ。1973年に制作されオカルトブームを巻き起こした傑作だ。今もってこの作品を超えるものはないだろう。12歳の少女リーガンのおぞましい悪魔が取り付いた顔、回る首、緑色のヘドなど今だにはっきりと脳裏に焼き付いている。ちなみに続編の二作は最低だった。 余談だが「キャリー」の主演女優だったシシー・スペイセクは、1980年の「歌えロレッタ愛のために」でアカデミー主演女優賞を受賞している。ついでに、6月6日の6時に生まれ頭に666のあざがある人は、ダミアンの会への入会資格があるとかないとか。
 
 次はパニック部門だ。
 飛行機ものでは「大空港」に始まり、「エアポート75」「エアポート77」が制作されている。他のジャンルでは「大地震」「タワーリング・インフェルノ」「サブウエイ・パニック」「パニック・イン・スタジアム」などがあった。
 僕のパニックものお気に入りベスト1はというと、「ポセイドン・アドベンチャー」だ。大津波に襲われ転覆するポセイドン号で繰り広げられる人間模様と、ハリウッドならではのスペクタクルシーンに117分間釘付けにされた。ジーン・ハックマンンもよかったが、太っちょオバサンのシェリー・ウインタースに泣かされてしまった。主題歌のモーニング・アフターがまたいい。シンガーは「タワーリング・インフェルノ」のパーティー会場でも歌っていたモーリン・マクガバーンで、双方の作品でアカデミー主題歌賞を受賞している。
 ところで、「タワーリング・インフェルノ」にはポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンが出演しているが、タイトルバックでふたりの名前に序列をつけないために、縦ではなく横に配列したと何かの記事で呼んだ記憶があるが、それほどまでにビッグスターには気を遣うのだろう。
 それから、ジョージ・ケネディーという「暴力脱獄」でアカデミー助演男優賞を受賞したこの人は、パニックものが好きなのか上記作品のうち5本に出演している。こういうすごい脇役がいるからこそ映画全体が引き締まるのだろう。
 
 刑事部門では、「ダーティー・ハリー1・2・3」「ガントレット」のクリント・イーストウッドが「恐怖のメロディー」「ダーティー・ファイター」「アルカトラズからの脱出」などさまざまな作品に出演していた。
 昨年ニューズウイーク誌が行った96年アメリカ大統領選挙についてのある調査では、27%もの人が彼を大統領に望んでいるとの回答があったそうだ。もしそうなったら映画出演どころではないだろうから、スクリーンで彼に会うチャンスはなくなるだろう。
 大統領といえば、J・F・K暗殺をテーマにした「ダラスの熱い日」、ニクソン失脚のウォーター・ゲート事件を扱った「大統領の陰謀」、大統領暗殺にイルカを利用しようとする「イルカの日」などの秀逸作品も制作されている。
 スクリーンで大統領役が似合うと僕が思う俳優は、ロバート・レッドフォード(特に「幸福の条件」の中での容姿)とショーン・コネリー(「理由」の中での容姿)の二人だ。逆に絶対似合わないのは、ウッディー・アレンとダニー・デビートの二人。 
 こんな他愛もないことを考えながら大統領選を傍観するのもいいのでは?