1996年2月28日

前回に続いて1970年代の作品を取りあげる。

 まずはSF部門から。
 「スター・ウォーズ」「エイリアン」「ウエスト・ワールド」「未来世界」「未来惑星ザルドス」「タイム・アフタ-・タイム」「末知との遭遇」等が制作されている。個人的には「未来世界」のラストでピーター・フォンダがデロスランドから偽者を装ってまんまと脱出するシーンが気に入っている。「エイリアン」女戦士リプリーを演じたシガニー・ウイバーは、この役のイメージが僕には強すぎて「目撃者」「愛は霧のかなたに」「ワーキング・ガール」などを観ても、どこかリプリーとオーバーラップしてしまうのだ。ちなみにすでに「エイリアン4」の企画が浮上しているらしい。脚本次第では第一作のリドリー・スコット、第二作のジェームズ・キャメロンのどちらかが、再度監督する可能性もありそうだ。

 次は少年、少女部門だ。
 「小さな恋のメロディー」「リトル・ロマンス」「ボケットの愛」「フレンズ」「ベン」「ビリティス」「青い体験」「白い家の少女」などがあった。
 僕のベスト1は「思いでの夏」だ。
 第二次世界大戦の夏、15歳の少年ハーミーは、丘の上の一軒家に住む年上の女性ドロシーと親しくなっていく。楽しい日々が過ぎていくのだが、ある日、彼女のもとに夫の戦死を知らせる電報が届けられた。その夜、悲しみに打ちひしがれた彼女とハーミーは結ばれる。しかし翌朝ドロシーは手紙を残して姿を消した。手紙にはこう書かれていた。

―あなたが世の中の無意味な悲しみに会うことがないように祈っています。愛するハーミー、いつまでもよいことだけがありますように―。
とても愛と思いやりに溢れた手紙だった。

 「リトル・ロマンス」では、ベネチアの運河にかかるため息橋の下で日没の瞬間にキスをした恋人たちは、永遠に結ばれる、という伝説のサンセット・キスが微笑ましい。名優ローレンス・オリビエの演技がこの作品をさらに優しさ溢れるものにしている。「小さな恋のメロディー」では、ビージーズの曲に合せてトロッコに乗っていってしまうあのエンディングがとても羨ましかった。ところで、両作品の少年の名前は偶然だがダニエルだった。ついでに「ベン」というネズミと少年の友情を捕いたこの作品の主題歌は、マイケル・ジャクソンが歌っている。

 さて今度は少年、少女期を過ぎた若者の青春部門だ。
 「いちご白書」「ペーパー・チェイス」「アニマル・ハウス」「グローイング・アップ」「ワン・オン・ワン」「ビッグ・ウエンズデー」「アメリカン・グラフティー」などの作品があった。
 「アメリカン・グラフティー」は後々もどんどん制作される青春映画の原点になった作品だった。このような作品を観ていて毎回思うのだが、アメリカの若者の青春に対する表現の仕方は日本とは随分違う。国が違えば相対的には自己表現の仕方も異なるだろうし、道徳観念も違うのは当然だろう。あけっぴろげにアメグラできる彼らを見ていると、羨ましく思うときもある。ただやはりあそこまでの無茶は僕にはできないだろうけど。
 ところで、アメグラのパロディーともいわれる「アニマル・ハウス」の徹底したメチャクチャぶりは、もう最高だ。この作品は36日間で撮影され、当時全米歴代のヒットランク15位にまで食い込んだ。

 ここでテーマ別分類は休憩して単品で数本取り上げたい。
カプリコン1」このような作品内容にNASAがが協力するアメリカという国はすごい。
北国の帝王」まさに男臭い迫力のある作品。
ハリーとトント」老人と猫の心温まるロード・ムービー。主演のアート・カーニーがアカデミー主演男優賞を受賞。
わらの犬」人間は誰しも潜在的に暴力性を秘めている。
パピヨン」究極の状況になってもゴキブリはたべられそうもない。
チャンス」欲を持たないようにしましょう。でも、それが一番難しいんだけど。
エマニエル夫人」How to play tennis?
マラソンマン」毎日歯を磨いてどんなに丈夫でも、あれじゃねぇ。
リップ・スティック」女性を甘く見たらいけませんね。
メナース」ラストシーンの意外性は300%。

次回は、ベトナムと男と女等を取りあげていく。