1996年7月1日

前回に続いてテーマは「サステリラーホラー」のランダム編だ。

モーニング・アフター」翌朝目を覚ますとベッドには見知らぬ死体が転がっていた。そんなバカなことが、と思うが、ルメット監督の手腕によってどんどん話に引き込まれてしまった。
ブラック・ウイドー」デボラ・ウィンガーのような悪女にだったら男は誰でもコロッとだまされるだろうな。
デス・ポイント 非情の罠」浮気の現場をビデオテープに撮られたからといって、諦めてはいけません。ロイ・シャイダーのように最後まで戦えばいいのです。
面会時間」犯人は面会時間を守らなかった。とてもいけないことですね。
サイコ2・3」ベイツ・モーテルには絶対泊まりたくない。だってノーマンがいるかもしれないから。
13日の金曜日1~8」ジェーソン君にいったい何人の人達が殺されたのだろうか?100人に達した時、タイトルは「13日の金曜日 ついに達成!悲願の100人斬 ~ジェーソン思わず嬉し泣き!キラリと光った大粒の涙にもう一人のジェーソンを見た!!~」とでもなるのだろう。
エルム街の悪夢1~5」フレディーを見て死ぬ思いをするくらいなら、バクに夢を食われた方がいい。
ポルター・ガイスト1~3」主演の女の子が本当に死んでしまった。たたりじゃ、たたりじゃ。
バーニング」園芸用のハサミで殺人を繰り返すバンボロ君、盆栽でも切っていなさい。
キャット・ピープル」檻に入れられた黒い豹、ナスターシャ・キンスキーの悲しそうに見つめる目で終わるラストシーンで思ったことは、豹に生まれなくてよかった、だった。
 この他数多くの作品が制作されているがタイトルだけを幾つか記し、その後、僕がこれぞ恐怖と思う話を紹介してサステリラーホラーのジャンルを終わることにする。「シャイニング」」「クリープショー」「デドリー・フレンド」「ヘルハウス」「プロムナイト」「フェノミナ」「エンティティー」「ザ・フライ1~3」「「エンゼル・ハート」・・・

では、本当に怖い話とは・・・

いつもの公園で子供達は遊んでいた。
その公園のベンチには誰もが絶対相手にしない男の老人が座っていた。
その日に限って、何故か子供達は老人をからかいたくなった。
子供達はすぐに思いを実行した。
子供達の予想に反して、老人は怒り子供達に襲いかかっていった。
しかし、子供達はいとも簡単に老人から10メートル程逃げることができた。
図に乗った子供達は、再び老人に対して罵詈雑言を浴びせた。
今度は先程よりも早く走り襲いかかってきたのだった。
子供達が慌てたのはいうまでもない。
涸れた声で、
―お前たちを殺してやる。血まみれになって死ぬがい。絶対に私からは逃げられないよ―
こう叫ぶと恐ろしい形相をして距離を狭めてきた。
驚き、恐怖に駆られた子供達が逃げ込んだ先は、公園内のトイレだった。
トイレに逃げ込むと、子供達は一番奥の大便用のトイレに駆け込み、急いで鍵を絞めた。
2、3秒後には老人が入ってきて怒鳴り散らした。
―お前たち、そこにいるのは分かっているんだよ。苦しみながら死ぬがいい―
 そういいながら、三つある大便用のトイレの最初のドアを力一杯蹴飛ばした。
ドアが勢いよく開き、バンッというもの凄い音が、他には誰もいない空間に響きわたった。
子供達は身を寄せ合った。
すると、老人は
―ここにいなければ二番目のドアを開けてやる―
といい、同じようにバンッ、という音が響きわたった。
三人の恐怖はすでに頂点に達していた。
次こそ自分たちのくるからだった。
子供達は死を覚悟したかもしれなかった。
しかし・・・
くるはずの自分たちの番は、一時間経ってもこなかった。
とはいえ、閉めた鍵を開けてドアの外に出ることは子供達にはできるはずもなかった。
さらに、一時間が過ぎた。
おそらく三人にとっては何十時間にも思えただろう。
二時間が過ぎたところで、子供達はもう大丈夫だろうと思った。
お互いに顔を見合わせ安心した。
そして、静かに音がたたないように、鍵を開けようとした。
三人の目は鍵に集中していた。
一人が鍵に手を伸ばしたときだった。
何か動く気配を感じた。ギャー、子供達は叫んだ。
老人は子供達に気ずかれないようにトイレにそっとよじ登り、二時間にわたってただ黙って子供達を見下ろしていた。

僕が思うに、この話はオカルト、ホラーを越えている。