1996年7月24日

今回は、男と女、ロマンティック・ラブ・コメディー編といこう。
 以前も書いたが、僕は自分の映画評価を◎○△×でつけている。過去の〇評価で一番多いのは、今回のテーマであるロマンティック・ラブ・コメディーだと思う。男と女のテーマ自体は身近であるし、エンディングはかならずといっていいほどハッピーエンドで終わり、会話もなかなか洒落たものが多い。ビールを飲みながら南京豆をつまみ、気軽に見るにはぴったしのテーマのような気がする。
 前回も書いたが、テーマについて厳密に定義することは避けさせていただく。例えば内容そのものはコメディーでないにもかかわらず、比較的頻繁に会話がコメディーぽかったりする作品。ある台詞や場面が、やけに全体のストーリーを引っ張っていき、何となく全体のトーンを明るくしたりする作品。あるいは、ほのぼのさを感じさせるような作品等も,幅広くこのテーマ範疇、ロマンティック・ラブ・コメディー-に入れていくことにする。
 こんな観点で特に僕のお気に入りの作品を幾つか上げよう。

 サリー・フェィールド、トム・ハンクス主演の「パンチ・ライン」だ。
 内容としては、コメディアンになりたいごく平凡な主婦が舞台に立ち、そこで医大生役のハンクスと知り合い恋しあう。ただし結局は道徳観、倫理観が大切にされるので、一種の不倫を扱ってはいるが、後味は全く悪くないという作品だ。ストーリーとしてはそれこそ平凡ではあるが、特に気に入ったわけは、平凡な主婦がゆえに戸惑い、後ろめたさを感じる彼女の姿が、愛らしくとてもかわいらしかったから。そして、やはり家族に心が戻っていったからだ。
 印象に残っているのは、彼女が自分を変えようと髪を切った後、家族に自分を見せる場面だ。自分では似合わないと思っていたが、夫と子供に髪を切った自分を見せると、とても変だという驚きの感じで彼女を見た。すぐに彼女は、泣きだした。切るんじゃなかったと。すると、すぐに夫と子供は、とても似合うよ、と慰めてくれた。泣いていた子供がすぐ笑うようになき止み、ニコッとした子供みたいに素直な彼女。そして、家族から愛されている彼女。僕はそんな彼女を見ていて、とても暖かいほのぼのとした気持ちになれた。
 「ノーマ・レイ」「プレース・イン・ザ・ハート」のシリアスな演技とは全く逆で、ここまで楽しませてくれるサリー・フィールドは、さすが、のひとことに尽きる。

 さて次は、キム・ベイシンガーが両方に登場しているこの二つの作品だ。「花嫁はエイリアン」と「ブラインド・デート」だ。前作はダン・エイクロイド、後作はブルース・ウィリスとの共演だ。両作品とも本当に気軽に楽しく観ることができた。それは「ノー・マーシー 非情の愛」で笑顔のなかったキム・ベイシンガーとは打って変わった、明るく楽しそうな女エイリアンと、酔っ払ってハチャメチャになるアル中女を演じた彼女がいたからだった。
 美人でキュート、そしてナーラックと僕は絶賛の言葉を惜しまない。とても43歳とは思えない。きっとよっぽど高価な化粧品を使っているのだろう。ただし元がいいからなおさら映えるんだろうけど。
 
 女優特集のようになってきたので、さらにもう一人を紹介しよう。
 年齢は51歳で、目がギョロッとしている。そして早口。おそらく僕を含めて皆さんのこの人に対するイメージは、コミカルで超陽気のネアカ、といったところだ。さて、この人はいったい誰か。もうおわかりだろう。その人の名はゴルディー・ホーン。
 彼女が主演している「昔みたい」「潮風のいたずら」は今回のテーマに入る作品だろう。特に「昔みたい」は「ファール・プレイ」に続くチェビー・チェイスとの再共演なので文句なしのロマラブコメディーに仕上がっているのだ。相変わらずコミカルでプリティーな彼女は、毎度のことながら僕を楽しませてくれる。
 
 それにしてもこの3人のパワーはすごい。いっこうに衰える気配がない。サリー・フィールドの歳をまだ書いていなかったが、彼女もゴルディー・ホーンとほとんど同じで50歳だ。どこから彼女達のパワーが沸いてくるのだろうか。特にゴルディー・ホーンは50歳を越えてもロマラブコメディーが似合っているし、違和感もない。こういう書き方をすると失礼になるので、いい方を変える。彼女くらい息が長くロマラブコメディーを演じられる女優は他にいないかもしれない。20年後の彼女の主演するロマラブコメディーが、今から楽しみだ。