1996年9月11日

 作品が終わり音楽と共にエンド・クレジットが流れ映画は終わる。そして館内に明かりが戻り席を立つ。映画の一般的な見方のパターンはこうであろう。このエンド・クレジットで分かるものと分からないものがきっとあることと思う。


 そこで、今回は知っていそうで知らないエンド・クレジット用語の解説編といこう。ただし、ほとんどの人が知っていると推測される用語は割愛した。

 なお、用語解説は「ピア シネマクラブ1996」からの抜粋である。

 

Casting
欧米では映画の配役台詞のある役をオーディションで集め、監督等と共に決める権限を持つ。キャスティング担当は、どのレベルの俳優を何人集められるかで力の差がでてくる。

 

Introducing
映画に初めて出演する新人の俳優を紹介する時にでるタイトル。

 

Stand in
主役級の俳優の負担を軽減する為に、顔がよく見えない距離の撮影時などは俳優に替わってカメラの前に立つ。またカメラや照明用に立ち位置を決めたりするときにも使われる。主役と背格好や外見が似ている人がなる。

 

Set Designer
大道具

 

Set Decorator
装飾、小道具

 

Leadman
セットで俳優が使ったりする小物に奥行きを出すような配置をする。

 

On Set Dresser
セットやロケで必要なものを配置する。

 

Film Loader:まだ撮影してないフィルムと使用済みのフィルムを交換する人。

 

Steadicam Operator
手持ちカメラで撮影するときに、手ぶれが少ない用に開発されたカメラを回す人。

 

Vista Vision Camera
20世紀フォックスが開発した横長のシネマスコープに対し、パラマウントが開発したのが、縦長のビスタ・ビション。映像は美しいがコストがかかるので特撮やアクションのみに使用。

 

Boom Operator
カメラと同時録音で台詞を録音する際のマイクを持つ人。

 

Cable:カメラや照明機材等に付随するケーブルを絡まったりしないように整理する人。

 

Property Master
持ち運びできる、撮影で使う小物や食事を手配したり作ったりする。

 

Stand-by Painter

新品のものを古く見せるように汚したり、セットのはげた色を修繕する人。

 

Picture Car Captain
撮影の中で使用される車を手配する。

 

Craft Sirvice
撮影時にスタッフやキャストにスナックや飲み物を用意する人。

 

Coordination Motor Officers
アメリカの場合、地域が映画製作に協力的で、映画の撮影時に道路の交通 整理をしてくれる警察の特別班がある。その部署と連絡を取り、お巡りさんを手配する人。

 

Second Unit
撮影本隊の下に、別班として設けられた監督、カメラマン、照明等の隊。スタント・シーン、群衆シーン、また、実景や撮り直し等のメジャーな配役が出演しないシーンを、本隊の監督と相談のうえで撮影する。

 

Post Production Supervisor
撮影終了後の編集、音楽録音等の予算を管理、手配する。

 

Conceptual Artist
監督のアイデアを基にしたクリーチャー等をスケッチする人。  

 

Foley Artist
ドアの閉まる音、足音等の効果音を映像を見ながら再現する人。

 

Scanning Supervisor
現在映画で頻繁に使われるワイド・スクリーンの画面比率は、テレビより大きいので、テレビ放映される場合は両端の映像が切れてしまう。撮影時にアクションが中央で行われるようアドバイスする顧問

 

Pyrotecnic Supervisor
映画の爆破シーン等で使用されるスモーク、火薬の扱いを指導する人。

 

Sculptor
特撮用に作った俳優の顔や体のモデルを特殊な素材を使って肉ずけする人。

 

Color Timer
監督と撮影監督の要望により、カラーの統一性を持たせる為、テスト・プリントを見ながらフィルムの色質や色濃度をシーンごと、ショットごとに補正を行う責任者。

 

Title and Opticals
映画のタイトルとエンディングを製作する会社。

 

Process Compositing
映画のフィルム・プリントを焼くラボのこと。

 

 参考までに言うと、「ターミネーター2」のエンド・クレジットは丁度100だった。いかに多くの人達の作業によって映画が制作されているかがわかる。アカデミー賞受賞者が、関係者の名前を必ずいいたがるのもなるほどうなずける。作品の完成度について、監督、俳優、脚本などが注目されるのは当然かと思われる。しかし、目には見えないがエンド・クレジットにでてくる人達それぞれがベストを尽くしたからこそ、質の高い作品に仕上がるのであろう。
 そんな、チームワークを大切にする映画が僕にはたまらない。