1997年2月26日

今ストーカーが急増しているようだが、映画の世界では彼らはすでに一つのジャンルとして作品のテーマになっていた。そこで今回は常軌を逸した異常な犯人が登場するサイコ作品猟奇殺人、ストーカー、サイコパスを2回にわたって紹介したい。ただ作品に触れる前に、サイコパスな人間が実際に起こした悪名高い猟奇殺人を幾つか紹介しておく。

 では代表的猟奇殺人の歴史を紐解くとしよう。

1.バラバラ殺人
・1888年、英切り裂きジャック=現代猟奇殺人の元祖。娼婦5人が次々と殺害された。5人とも喉元をかき切られ、体をズタズタに切り裂かれていた。
・1972年~73年、米ハーバート・マリン=老人や女子学生の体を切り裂き、内蔵を引き出した。彼はサンフランシスコに大地震が起きるという妄想に取り付かれていた。―地震の原因は環境破 壊だ。環境の汚染度は人間の内蔵を見ればわかる―。これが殺人の動機だった。
・1978年~90年ロストフの切り裂き魔=元小学校教師の彼は、少なくとも55人の少年、少女を殺害した。
・1982年英ジョン・ボーデン=男性を生きたままナタと電動肉切り包丁でバラバラにした。

2. 大量殺人
・1938年、津山30人殺し=岡山県西加茂村の青年が病苦と失恋の痛手から、祖母など村人30人を日本刀と猟銃で殺害し、自殺。
・1953年~63年、メキシコゴンザレス姉妹=売春宿[天使牧場を経営し、少女や売春婦90人以上を連れ込み、麻薬漬けにして殺害。
・1970年代、南米ペドロ・ロペス=ペルー各地で100人以上のインディオ少女を殺害し、エクアドルでは少女を犯して絞殺し川に捨てた。300人の女性を殺害したと自供。

3. セックス殺人
・1029年~30年、独ペーター・キュルテン=殺人未遂を含め15人をレイプしハサミでメッタ刺しにして血を吸った「デュッセルドルフの吸血鬼」。
・1972年~73年、米エド・ケンパー=女子大生6人を殺害し、屍姦。発覚を恐れて母親とその友人も殺して首を切り落とした。
・1994年、英「恐怖の館」殺人事件=フレッド&ローズマリー夫妻は自分の娘から下宿人まで女性、少女12人を弄び、自宅の床下に埋めていた。

4. カニバリズム
・1991年ジェフリー・ダーマー=少なくとも16人の有色人種の青少年を殺害し、鍋で人肉を煮て食べ、人皮の服や頭蓋骨のスープ鉢も作っていた。91年に逮捕されたときには、二つの生首が冷 蔵庫に貯蔵され、ほかに一つを煮込んでいる最中だった。また時には被害者を植物人間に改造し ようとし、頭にドリルで穴を空け、ロボトミー手術を施そうともしていた。

5. カルト殺人
・1978年ガイアナ「人民寺院」集団自殺=信者219人が集団で服毒自殺
・1989、年メキシコ悪魔教人身御供殺人=悪魔教を信奉し人間や動物を生贄として脳や心臓を煮て食べる儀式を行っていた。犠牲者は15人。
・1995年、日地下鉄サリン事件=オウム真理教信者が地下鉄内で神経ガス、サリンを発生させ、乗客など5500人が負傷、12人が死亡した。  ここにあげた事件は、ほんの氷山の一角にす ぎないことはいうまでもない。このような犯罪を起こす犯人は、検挙されない限り犯行を繰り返す特 徴がある。我々の周りにも彼らが存在している可能性は十分あり得る。

 

 

 このような事件をベースにして、あるいはヒントにして制作されたサイコ映画は多い。
 

羊たちの沈黙」のバッファロー・ビルは、大柄で小太りの女の子ばかりを誘拐して殺した後、その皮を剥ぐ。剥いだ皮はきれいになめして裁断し、自分にぴったりの乳房のついたチョッキを作っていた。
コピー・キャット」のピーター・フォーリーは過去に起こった、<ボストン絞殺魔><ヒルサイド絞殺魔><サムの息子><ミルウォーキーの食人鬼>の有名な猟奇殺人の手口を完璧に模倣する連続殺人犯だ。
愛は危険な香り」のジャック・プライスはダイアン・レインの後をつけ、電話をかけ、張り込む。そして留守中に部屋に忍び込み彼女の歯ブラシで歯を磨き、ヘアブラシについた髪を顔に擦り付ける。
コレクター」のフレディーは蝶の収集が趣味だったが、新しくコレクションに加えたのは人間の女、女子大生のミランダだった。
セブン」のジョン・ドゥはキリスト教の7つの大罪、憤怒・嫉妬・高慢・肉欲・怠惰・強欲・大食に基づいて猟奇殺人を犯す。
シリアル・ママ」のビバリー・サトフィンはゴミを分別して出さない、ビデオを巻き戻して返さない、秋なのに白い靴を履いたヤツなど常識に欠けたヤツを見ると、すぐに殺してしまう危ないオバサンだった。
ルーム・メイト」のヘドラは、憧れのアリソンになりきるため、髪の色、髪型、服装、化粧を変え、言葉使いや歩き方もアリソンそのものになっていき、彼女の恋人にまでも接近。そしてついには本物のアリソンが不必要になり殺害を企てようとする。

 まだまだサイコパスな犯人が登場する作品は多くあるが、他の作品紹介はまた次回号にて。