1997年4月23日

 子供の頃、父親と一緒に

 

恐竜100万年」<ONE MILLION YEARS B.C.>

1966/イギリス
監督:ドン・チャフィ
主演:ラクエル・ウェルチ/ジョン・リチャードソン

 

という映画を観に行った。

 それ以来恐竜に興味を持ち何か壮大なロマンを感じていた。今ではさらに映像の技術は進歩し、見事なSFXによって僕らにあたかも恐竜の生きていた時代にタイムトラベルしたような錯覚を、映画「ジュラシック・パーク」は起こさせてくれる。

 今回は恐竜の絶滅について触れてみたい。
 恐竜絶滅説には火山噴火説、海進海退説、巨大隕石衝突説など諸説諸々議論が沸騰しており、これという一つの答えはまだ確立されていないのが現状だ。恐竜は中性代の三畳紀中期約2億2500万年前から後期に出現。ジュラ紀から白亜紀にかけて最も繁栄し白亜紀の終わり、つまり6500万年前頃には全て絶滅したと考えられている。

 ではなぜ1億6000万年もの長きにわたって種を保存してきた恐竜が滅びてしまったのか。
 僕は次の説を指示している。
 それは恐竜が絶滅する1000万年前からすでに彼らは種を減らしつつあったというものだ。当時7500万年前は海面が上昇し、陸上の低地帯にすむ動物群を圧迫した。その後海面が降下してもそれらの種は回復することなく次第に滅びていったと思われる。つまり地球規模の海進海退が恐竜に厳しい環境を与え、彼らはその環境に適応できないまま衰退していったのだ。そして6500万年前恐竜たちを絶滅させるようなとどめをさす大異変が地球に起こった。それが巨大隕石の地球衝突だったのである。巨大隕石が地球に衝突したとしても、種が激減していなければ、いっきに恐竜が絶滅することはなかったと思われる。従って恐竜絶滅のシナリオは海進海退説による種の激減と巨大隕石衝突説の混合説によって説明がつくものと考える。
 
 では巨大隕石は本当に地球に衝突したのだろうか。答えはイエスである。
 1980年カリフォルニア大学のルイス・アルバレス教授を中心にしたグループが6500万年前の地層中にイリジウム濃度が高い層があることをイタリアのグビオで発見した。イリジウムは地殻中には量の少ない元素である。教授らはこの地層にイルジウムが数十から百倍近くも含まれている原因を検討した結果、イリジウムが巨大隕石の衝突によってもたらされたと結論したのだった。あらゆる分析から巨大隕石の質量は1兆トンで、これは直径10メートルほどの小惑星に匹敵すると推定された。この規模の隕石が衝突したとすると、その結果生じるクレーターの大きさは直径100メートルを優に越え、地震のマグニチュードでいえば、10をはるかに越えるものだったと思われる。

 ではそのクレーターはどこに存在しているのか。 
 1991年、メキシコのユカタン半島の地下でそれは確認された。というのはテクタイトガラス状の物質で、隕石が超高速で地表に衝突し、その衝撃によって地表物質が溶けて周囲に飛び散ったものという物質がそこから発見されたからであった。もちろんテクタイトの化学成分とユカタン半島の地下の試料の成分は一致した。この発見によって6500万年前の幻のクレーターが現に存在することが明らかにされ巨大隕石衝突説は公に認知されることになったのである。ただしクレーターの大きさについては2説ある。一つは直径180メートル。もうひとつは直径300メートルというものである。いずれにしても巨大なクレーターは存在する。

 ではこの衝突の衝撃はどのくらいの規模だったのだろうか。こう考えられる。
 秒速数十キメートルという速度で地球に衝突したときの巨大隕石の衝撃は、厚さ30メートルの地殻を突き抜け、マントルにまで到達したと思われる。6500万年前のユカタン半島は深さ100メートルほどの浅い海の下にあったと考えられているので、衝突によってその付近の海は蒸発し、クレーター形成という地殻変動にともなって巨大な津波が発生したであろう。さらにちりは成層圏を突き抜け地上40メートルもの高さにまで達したと考えられる。もちろんその衝撃は地球の裏側にも影響を与えたと思われる。地球儀を見ると、ユカタン半島の裏側近くにインドがある。インドのデカン高原は、およそ6500万年前の火成活動によって噴出した大量の玄武岩熔岩によって作られた地形だ。隕石衝突との何らかの因果関係が考えられる。ただし当時の両地域の位置関係を見ると、多少ずれている。6500万年前にはプレート運動の向きも急に変化したと考えられる。この辺は今後の研究のテーマかもしれない。
 
 隕石衝突後、大気中には大量の二酸化炭素や二酸化硫黄が蒸発した。成層圏まで達した。二酸化硫黄はちりのまわりに濃硫酸の液滴として凝縮する。そしてこのもやは太陽光をさえぎり急激な気温の低下とともに植物から光合成を完全に奪い、さらには酸性雨を降らせ地表付近の生態系は壊滅状態になったと考えられる。

 これが恐竜を絶滅させてしまったシナリオだ。ただしこれはあくまでも一つの仮説であって絶対的なものではないことをもう一度付け加えておく。