2014年2月23日

ミケランジェロの暗号」<MEIN BESTER FEIND>

2010/オーストリア
監督:ヴォルフガング・ムルンベルガー) 
主演:モーリッツ・ブライブトロイ/ゲオルク・フリードリヒ/ウーズラ・シュトラウス

 

<公式サイト>
【ユダヤ人画商一族、カウフマン家が密かに所有するミケランジェロの絵。それはムッソリーニも欲するほどの国宝級の代物だった。ある日、一家の息子ヴィクトルは親友ルディの絵の在りかを教えてしまう。ナチスに傾倒していたルディは、軍で昇進するためにそれを密告。一家は絵を奪われ収容所へと送られる。一方、ナチスは、絵を取引の材料にイタリアと優位な条約を結ぼうとしていた。しかし、奪った絵が贋作であることが発覚する。本物の絵をどこかへ隠した一家。<中略>ナチス・ドイツがイタリアとの同盟のために必死で探す、国家級のミケランジェロの絵の行方を巡るミステリー。そして、その在りかを駆け引きの材料に母を救おうとするユダヤ人画商ヴィクトルの、手に汗握るサバイバル・サスペンスが一体となった本作は、ラストに全ての緊張を解き放つ爽快感を残す。】

 

作品は、【ナチス】【ミケランジェロ】【画商】を主軸にしたサスペンスストーリーだ。
この主軸に【収容所】【恋人】が加わり、テンポの速い展開で作品は結末を迎える。
 典型的なサスペンスものではあるのだが、大小含めた複数のどんでん返し的な脚本が用意されているため、中だるみはない。


 作品がナチスによるユダヤ人迫害を扱っている割には、それほど悲壮感が感じられなかったのだが、それは、あの結末が用意されていたからに他ならない。とは言っても、収容所での惨状や虐げられるユダヤ人たちの描写はきちんとされているため、決してお気楽で鑑賞できる作品ではない。


 悲壮感を緩和させてくれている大きな要因は、あの結末のほかに、あの結末を迎えるための伏線として、ヴィクトル、恋人、ルディの3人に焦点をあてた、どことなく、まじめだがユーモラスな後半の展開が挙げられる。


この件は結末への伏線であるため、とても重要なものであると同時に、窮地に立たされたときの人間の知恵や強さを賞賛しているように思えた。


 作品の完成度と言う観点では、実はあまり高い点数は付けられない。途中であの落ちが読めてしまうからだ。やはりこれは大きなマイナス点だ。しかし、それを考慮しても、作品としては○評価になる。あの落ちが実に心地よかったから。

こういう映画、僕は好きなのです。

 

僕がこれまでに観た【ナチス】【ユダヤ人迫害】に関連する作品で特に評価の高かった作品を記しておく。内容紹介はAmazon/wikipedia/Yaho!映画から引用した。

 

さすらいの航海

<VOYAGE OF THE DAMNED>

(1976/イギリス・スペイン)


ナチスによる迫害を逃れ、大西洋に乗り出したユダヤ船。ところが大戦の勃発で船は各国からの受け入れを拒否され洋上をさまようはめに。豪華客船を舞台に、大国のエゴに翻弄されるユダヤ難民の悲劇を描いた人間ドラマ。

僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ

<HITLER JUNGE SALOMON>

(1990/ドイツ・フランス)


第二次世界大戦の暗黒の時代を奇跡のように生き延びたユダヤ人、ソロモン・ペレルの実体験を基に映画化した作品。ナチスの迫害から逃れるために一家でドイツを離れポーランドへ。そこへも魔の手が伸びると、両親、そして兄とも離れ離れになり、ソ連の施設に身を寄せることとなったソロモン少年。やがて侵攻してきたドイツ軍に捕らえられた時、生き延びるために彼は、ユダヤ教に則って割礼を受けている自分を隠し、ドイツ人になりすました……。

灰の記憶

<THE GREY ZONE>

(1992/アメリカ)


ポーランドのアウシュビッツ強制収容所のガス室で奇跡的に生き残った少女の命を守るユダヤ人たちの葛藤と勇気を描く。

「シンドラーのリスト

<SCHINDLER'S LIST>

(1993/アメリカ)


第二次世界大戦時にナチスドイツによるユダヤ人の組織的大量虐殺(ホロコースト)が東欧のドイツ占領地で進む中、ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが1100人以上ものポーランド系ユダヤ人を自身が経営する軍需工場に必要な生産力だという名目で絶滅収容所送りを阻止し、その命を救った実話を描く。

「マイ・リトル・ガーデン

<THE ISLAND OF BIRD STREET>

(1997/デンマーク・ドイツ・イギリス)


11歳の少年アレックス(ジョーダン・キズック)は、ポーランドのユダヤ人強制居住区で父や伯父とともに窮屈な生活を送っていた。毎日読む「ロビンソン・クルーソー」の本だけが心の支えだ。ある日、ユダヤの完全一掃が始まり、最愛の父ひとりだけが別の場所へ連行されてしまう。アレックスは兵士たちが気をとられた隙に飛び出し、「きっと迎えに来るから」という父親の言葉を信じて、居住区の廃墟の中でひとり生き延びようとする…。

戦火の祈り
<THE GARDEN OF REDEMPTION>

(1997/アメリカ)

 

第二次世界大戦のイタリアを背景に、ナチス・ドイツに抵抗した一人の神父を描いたサスペンス。ナチスの侵略は、若い神父パオロの小さな町にまで及んでいた。ある日、一人の男がナチスに残虐な手口で処刑される。その男は、パオロがひそかに愛していた女性の恋人だった。パオロは沈黙しつづけるが、レジスタンス組織が彼に目をつける。パオロは、組織にある密命をたくされ、戦火に身を投じることになるが。

「ライフ・イズ・ビューティフル」

<LAVITAE BELLA>

(1998/イタリア)


第二次世界大戦下のユダヤ人迫害(ホロコースト)を、ユダヤ系イタリア人の親子の視点から描いた作品。

 

聖なる嘘つき
<JAKOB THELIAR>

(1999/アメリカ)


第二次大戦中、ナチスの占領下にあったポーランド。ユダヤ人居住区ゲットーに住むジェイコブは、偶然耳にしたラジオのニュースをゲットーの仲間たちに教える。その噂はやがて広まり、彼の元には、ニュースの続報を知りたがる者が集まってきた。ジェイコブの嘘は、極限状態にいる彼らの希望となっていたのだった・・・。

ふたりのトスカーナ
<IL CIELO CADE>

(2000/イタリア)


第二次世界大戦下のイタリア、トスカーナ地方を舞台に、両親を交通事故で亡くし田舎の伯父夫婦に引き取られたペニーとベビーの身の回りに起きる出来事を描いた感動作。

「名もなきアフリカの地で」
 <NOWHERE IN AFRICA>

( 2001/ドイツ)

 

ナチスの迫害を逃れ、アフリカに辿り着いたユダヤ人少女とその両親。それぞれの思い、苦悩、そして成長を家族の絆や愛、アフリカの大自然を背景に描いた作品

戦場のピアニスト

<THEPIANIST>

(2002/フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス)


1939年9月、ポーランド。ナチス・ドイツが侵攻したこの日、ウワディクことウワディスワフ・シュピルマンはワルシャワのラジオ局でショパンを演奏していた。街はドイツ軍に占拠され、ユダヤ人をゲットー(ユダヤ人居住区)へ強制移住させるなどの迫害が始まる。シュピルマン家も住み慣れた家を追われる。ゲットー内のカフェでピアノ弾きの職を得た彼は、様々な迫害に遭いながらも静かに時をやり過ごす。しかし、やがて一家を含む大量のユダヤ人が収容所へと向かう列車に乗せられる。その時、一人の男が列車に乗り込もうとしていたウワディクを引き留めた。

アンナとロッテ

<DE TWEELING>

(2002/オランダ・ルクセンブルク)


1926年、ドイツのケルン。両親を亡くした双子の姉妹、アンナ(シーナ・リッヒャルト)とロッテ(ユリア・コープマンス)は、ドイツの農 民の家と、オランダの裕福な家庭にそれぞれ別々に引き取られる。

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々
 <SOPHIE SCHOLL - DIE LETZTEN TAGE>

(2005/ドイツ)


白いバラ抵抗運動のメンバーの一人で、国家反逆罪により21歳で処刑されたゾフィー・ショルの最後の日々を描く。