2002年10月14日

 

 時空を超えた不思議なストーリーは数多く制作されている。最近観た作品では、

 

天使がくれた時間」<THE FAMILY MAN>

2000/アメリカ

監督:ブレット・ラトナー

主演:ニコラス・ケイジ/ティア・レオーニ

 

がいい作品だった。僕たちの生きている現実社会の中で、一度は仕事と家庭の優先順位で葛藤を迫られた人も多いのではないだろいうか。
 この作品は、まさにそんな映画だった。現実社会ではビジネス優先の主人公が、非現実の世界の中では、徐々に家族という愛情あふれる生活を満喫していく。そしてついには、現実社会―拝金主義であり、機械的であり、無機的な社会―に戻ることを拒否するが、天使はそれを許してはくれなかった。だが、その非現実社会に住んでいたことは、彼にとって無駄ではなかった。それは、荒れ果てた大地のような現実社会に、一輪の花を咲かせる方法を教えてくれたからだった。
 自分が何かに気が付けば、人はいとも簡単に自分を変えることができるのだ。人によって〈何か〉が何であるかは異なるが、その〈何か〉に気が付いたときに、考えもしなかった別の人生が開花するのかもしれない。だから、人生はおもしろいのだろう。

スライディング・ドア」<SLIDING DOORS>

1997/アメリカ

監督:ピーター・ハウイット、

主演:グウィネス・パルトロー、ジョン・ハナー

 

も気に入っている作品だ。

 ドラマは、いつものように通勤電車に乗れた場合と、乗れなかった場合に起こるであろうことが、それぞれ同時進行して進んでいく。ただし、この作品では結末はまったく別々の方向に進むのではなく、うまいこと融合していく。映画ならではの落とし方だった。

 もしもあの時・・・・・・、誰しも一度は考えたことがあるはずだ。常に現実社会では選択を迫られる。非選択肢を選択していたら、自分の人生はどうなっていただろうか。とても興味を惹かれる事柄のひとつだ。振り返らずに前進あるのみのスタンスもいいが、後悔ではなく、郷愁や懐かしさ、思い出のような感覚に近いルッキング・バックをしてもいいだろう。逆説的かもしれないが、現実をしっかりと生きているからこそ、たとえ嫌な過去があったとしても振り返ることができる。見方を変えれば、振り返ることは"今"を生きている証でもある。

 

オーロラの彼方へ」<FREQUENCY>

2000/アメリカ

監督:グレゴリー・ホブリット

主演:デニス・クエイド、ジム・カヴィーゼル

 

は、30年前の生きている父親(現在は亡くなっている)と現在の息子が、時空を越えて無線を通じて交信していくうちに、ある出来事を回避し、また遭遇し過去を変えていきハッピーエンドにつながっていくという物語だ。時空を結ぶつながりを無線に求めたアイデアも面白い。AURORAはラテン語の原義では、夜明けの女神、という意味があるが、そのオーロラが物語では鍵を握る。まさに、女神が家族を幸せにしてくれたのだった。

 

 

 

 

 

 個人的には、時空をテーマにした作品は好きなジャンルといえる。

 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の発想自体は新しい訳ではないが、恋あり活劇あり映像技術ありと観る側を楽しますエッセンスがふんだんに盛り込まれた、娯楽としては徹底された作品だった。「タイムアクセル12:01」「タイム・アフター・タイム」などは、アイデア勝負の映画で楽しめ、またエンターテイメント性も高かった。
 また、時空を超える作品ではなかったが、二つの別々の世界を行き来する女性の物語「薔薇の眠り」PASSION OF MIND(制作:2000年、監督:アラン・ベルリネール、主演:デミー・ムーア、ステラン・スカルスガルド)には、少々せつない気分にさせられたが、プロバンスの主婦とニューヨークのキャリア・ウーマンのようにまったく異なる生活も短期間であるならば悪くはない。
 現実的には時空を超えることは不可能であるが、超えられるものなら未来でも過去でもいいから、超えてみたいと思う。不可能がわかっているからこそ、このテーマの作品に興味を惹かれるのだろう。
 今日の就寝時には、時空ではないが楽しい夢を観て、擬似的時空移動をしてみたい。できれば、ジュラ紀の恐竜の世界にでも行くとするか。