2004年2月8日

 

2003年に観た作品で、◎の作品は「マジェスティック」「ジョンQ-最後の決断ー」「白い犬とワルツを」の3作品だった。

「マジェスティック」「ジョンQ-最後の決断ー」については、すでに触れているので、今回は

 

白い犬とワルツを

<TO DANCE WITH THE WHITE DOG>

2002/アメリカ 

監督:グレン・ジョーダン 

主演: ヒューム・クローニン/ ジェシカ・タンディ

 

を題材にする。

 主演は1942年の結婚以来、仲良く連れ添っていたジェシカ・タンディとヒューム・クローニン。作品での役も実生活を地でいくようなお互いを思いやる幸せな老夫婦で、作品のいたるところに二人の深い愛情と家族の強い絆が散りばめられている。とても心温まるファンタスティックな大人の物語だった。
 作品の概要は、サム(クローニン)は57年間連れ添った妻コーラ(タンディ)を亡くしてしまうが、コーラとのよき日を想いながら一人で生活を続ける。サムには息子や娘、孫もいる。その子供たちは一人暮しの父を心配し何かに託けては家を訪れる。だがサムは、自分を心配してくれる子供たちに感謝しながらも、一人でしっかりと生きていきたいとも思っている。そんなとき、どこからともなく白い犬が現れる。白い犬はかつてコーラとの新婚時代に飼っていた犬によく似ていたこともあり、サムはその犬をかわいがる。しかし、子供たちや孫が訪ねてくると犬は決して姿を現さない。幾度となく語られるサムの犬の話に不信を持つ子供たちだったが、ある日、子供たちも犬を目撃し、サムの正常さを確認しほっとする。しかしそんな矢先、サムはコーラが出席したがっていた同窓会に歩行器を使用しなければならない体でありながらも、孫を除いて子供たちには黙って犬を連れて車で出かけてしまう。そしてその帰途であるできごとが起きる。
 作品はサムを中心とした永遠の夫婦の絆、そして、どこにでもありそうなごく普通の家族の絆をたんたんと描いている。大げさに描くことなく、あくまでも自然にさりげなく描写しているところに僕は共感を持った。月並みな表現にはなるが、このように子供や孫に囲まれ夫婦揃って年を重ねていければと思う。親も子もそれぞれが安心し自立・独立できるのは、目には見えないが、そこには絆という太いつながりがあり、いつでも手繰ることができるという安堵感があるからだろう。だが、昨今はどうなのであろうか。是非の問題ではなく、核家族の時代になった今では、小津監督の「東京物語」のような親子関係の方が増えているのだろうか。もちろん普遍的な家族のあるべき姿というものは定義のしようもないし、する必要もない。家族にはその家族の歴史がある。それぞれの家族がそれぞれにおいて、家族の良さを感じとればいい。ただ結果として、そのような家族が増えれば増えるほど、きっと世の中の住み心地はよくなるのだろう。
 今は日曜日の午後5時過ぎ。コラムも書き終わるので、少し早いが晩酌でも始めるか。まずは、ビールをクッーと。もちろん家族団欒でのたわいのない会話をつまみにして。 しかし、こんなつまみではあるが、結構楽しめて安上がり、かつ、なかなかいけるのである、これがまた。

 


ヒューム・クローニン 1911/07―2003/06


12人の怒れる男/評決の行方(1997)
マイ・ルーム(1996)
カミーラ/あなたといた夏(1994)
ペリカン文書(1993)
白い犬とワルツを(1993)
               ブロードウェイ・バウンド(1991)                
デイワン/最終兵器の覚醒(1989)
ミスター・サンデー(1989)
コクーン2/遥かなる地球(1988)
ニューヨーク東8番街の奇跡(1987)
別れの時(1987)
コクーン(1985)
マイナー・ブラザース/史上最大の賭け(1985)
インパルス!暴走する脳(1984)
ガープの世界(1982)
華麗なる陰謀(1981)
フロリダ・ハチャメチャ・ハイウェイ(1981)
コンラック先生(1974)
パララックス・ビュー(1974)
大脱獄(1970)
アレンジメント/愛の旋律(1969)
シカゴ・シカゴ/ボスをやっつけろ!(1969)
クレオパトラ(1963)
ルーズベルト物語(1960)
うわさの名医(1951)
歌う捕物帳(1949)
山羊座のもとに(1949)
逃げた花嫁(1948)
ロープ(1948)
始めか終りか(1947)
真昼の暴動(1947)
育ちゆく年(1946)
秘めたる心(1946)
郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946)
ジーグフェルド・フォリーズ(1946)
救命艇(1944)
オペラの怪人(1943)


ジェシカ・タンディ 1909/06―1994/09
 
カミーラ/あなたといた夏(1994)
ノーバディーズ・フール(1994)
白い犬とワルツを(1993)
迷子の大人たち(1992)
おばあちゃんの贈り物(1991)
フライド・グリーン・トマト(1991)
ドライビング Miss デイジー(1989)
コクーン2/遥かなる地球(1988)
事件を追え(1988)
ニューヨーク東8番街の奇跡(1987)
別れの時(1987)
コクーン(1985)
ボストニアン(1984)
殺意の香り(1983)
ガープの世界(1982)
結婚しない族(1982)
フロリダ・ハチャメチャ・ハイウェイ(1981)
鳥(1963)
青年(1962)

開拓者の血(1958)
砂漠の鬼将軍(1951)
旅愁(1950)
モナリザの微笑(1948)
永遠のアムバア(1947)
育ちゆく年(1946)
呪われた城(1946)
愛の決断(1945)