2005年1月16日

 

 "もしも、あの時に戻れたら・・・・・・"を材料にした作品に以前触れたことがあるが、  

 

MR.デスティニー」<MR. DESTINY>

1990/アメリカ

監督:ジェームズ・オア

主演:ジェームズ・ベルーシ、リンダ・ハミルトン、マイケル・ケイン

 

もいい作品だった。

 主人公のラリー(ジェームズ・ベルーシ)は、20年前の高校野球の決勝で空振りしヒーローになれなかったことが、自分のうまくいかない人生の始まりだと思っている。そして35歳の誕生日当日、妻のエレン(リンダ・ハミルトン)は自分の誕生日を忘れているし、会社はクビになる。おまけに車も故障してしまう。レッカー車を呼ぶために近くのバーに入ると、バーテン(マイケル・ケイン)が特別なカクテルを出してくれる。そしてそれを飲んだ瞬間、ラリーは過去に戻っている。20年前のあの試合ではホームランを打ち地元でヒーローとなり、そのおかげでクビになったはずの会社の社長になっている、というように、すべてがうまくいっているのだが・・・・。
 よくある脚本のひとつではあるが、僕はこの手の話に出会うと、まさに"今"、何がもっとも大切なのかをつい考えてしまう。毎回答えは同じなのだが、それは、"今"をベースにした"未来"への着想だ。

 今があるのは、昨日までの過去の積み重ねがあるからに他ならない。また、未来があるのは今があるからに他ならない。つまり、未来を描くには、キャンバスに今を描き続けていく必要がある。しかも、もし理想の未来を描こうとすれば、その理想の実現に向けた今を着実に描いていくことが必要になる。つまり、"今"は"未来"の入り口なのである。そう考えると、自分が欲する未来は、自ら今をデザインすることで、実現が可能となる。

 ここで"今"という字が入っている、名言のいくつかを紹介するが、名言といわれているものは、読んでみるとなるほどと参考になるものが多いことに改めて気がつく。

● <J・マーフィー>
今あなたが不運な状態にあるなら、それはあなたがそうなるように仕向けた結果です。逆に、今あなたが幸運に恵まれているなら、それもあなたがそうなるように仕向けた結果です。
 
● <フランクリン>
今日という一日は明日という二日分の値打ちを持っている。

● <ラポック>
他人と比較して、他人が自分より優れていたとしても、それは恥ではない。
しかし、去年の自分より今年の自分が優れていないのは立派な恥だ。

 

 「MR.デスティニー」の主演の二人は、「多重人格」という作品で4年後に再共演している。作品としてはサスペンス、ミステリー仕立てで楽しめた。主演女優のリンダ・ハミルトンは「ターミネーター」のサラ役で一躍有名になった。僕の彼女に対するイメージは、弱音を吐かずに戦い続ける強い女性サラのため、今回の妻役エレンはどうもピンとこない。だが、ニコッと笑ったエレン役の彼女の顔に、どことなくほんわかしたものがあること、そしてその笑顔が結構キュートであることに初めて気がついた。しかし彼女の出演作品のほとんどは、アクション、サスペンス系のジャンルだ。役柄としても笑顔の少ないキャラクター設定が多い。そのような意味では、ラストシーンでの彼女の満面の笑顔を観ることができた十数秒は、とても貴重な時間だったかもしれない。

 

 最後に、シリアスな演技で僕を感動させてくれた彼女の作品を紹介する。

 

マザーズ・プレイヤー」<A MOTHER'S PRAYER>

1994/アメリカ

監督:ラリー・エリカン

主演:リンダ・ハミルトン、ノア・フレイス

 

は、エイズに感染し死を覚悟した母親(リンダ・ハミルトン)が、8歳の息子のために社会と闘うという実話に基づいた物語だ。

 社会との関わり、親子の絆、AIDSへの偏見、生きることとは、死ぬこととは等、普段ではなかなかじっくりと考えることができないテーマがそこには詰まっている。本当に真剣に考えさせられる作品だった。