2006年1月14日

 年末年始の深夜番組で、刑事コロンボ作品が放映された。かつて、これらの作品を観てから30年近くの歳月が経つ。土曜日の午後八時、NHK総合テレビでの放映だったと記憶している。中学生だった当時は、コロンボが観たくてわざわざ塾の日をずらしたことを思い出す。
 

 今回放映された作品は、「二枚のドガの絵」「黒のエチュード」「別れのワイン」「殺しの序曲」の4作品だった。「別れのワイン」だけは、まだ観ていないが、他の3作品については、評価△をつけざるを得なかった。

 
 コロンボ作品の展開は、まず最初に犯罪が起き、かつ犯人も登場する。さらには、手口までご親切に紹介してくれる。そして事件直後、コロンボ警部が犯人の前にあのヨレヨレのレインコート姿で葉巻を吸いながら登場し、ねちっこく、じわりじわりと真相に近づいていく、というものだ。
 このての作品は、結末をすでに知っていると、どんなに秀逸な作品でも、やはり魅力が半減してしまうのは仕方のないことだろう。今回、評価が△だったのは、決してこれらの作品がつまらなかったわけではない。ただ、展開と結末の詳細を覚えていたので、結果として△評価になってしまった、ということだ。しかし、結末を知っていても○評価がつけられると密かに期待している作品が、実は「別れのワイン」である。楽しみのためにまだ観ていない。今日の夜、観るつもりでいる。
 

 コロンボ作品は、1967年~78年に45本制作され、1989年~2003年に24本制作されている。89年以降の作品は観る機会がなかったので、今後是非観てみたいと思っている。70年代の45本作品で僕のお気に入りの5作品は、「意識の下の映像」「溶ける糸」「ロンドンの傘」「逆転の構図」、そして「別れのワイン」となる。いずれの作品もオチをいえないが、今でも忘れられないシナリオのできだった。
 コロンボ作品の第1作は、「殺人処方箋」だが、ヨレヨレのレインコート姿を除けば、2作目以降も続くコロンボのキャラクターはすでにこの作品で完成されている。「うちのカミさんが・・・」「あとひとつだけ・・・」の台詞や遠慮なくどこでも葉巻を吸うあつかましさなど。
 「殺人処方箋」で、犯人の精神科医がコロンボの心理分析をする。「君は典型的な代償作用の実例と云える。君は優れた知性を持つが、それを隠している。道化のようなふりをしている。何故か?その外見のせいだ。外見のせいで押しも効かないし尊敬もされない。が、君はその弱点を逆に武器とする。君は不意打ちをかける。見くびっていた連中はそこで見事につまずく」。まさにこれが、コロンボの人物像である。
 コロンボを演じているのはピーター・フォークだが、「殺人処方箋」で精神科医がいい当てたような人物像としてのキャスティングとしては、まさに適役だった。余談だが、日本においては吹き替えの小池朝雄の声も完璧だった。ただ、実際のピーター・フォークの声はもっと甲高いのだが。


 最後にコロンボシリーズのタイトルを記しておく。

 

                   殺人処方箋(1967) 
                   死者の身代金(1971)
                   構想の死角(1971)
                   指輪の爪あと(1971) 
                   ホリスター将軍のコレクション(1971)
                   二枚のドガの絵(1971)
                   もう一つの鍵(1971
                   死の方程式(1971)
                   パイルD-3の壁(1971)
                   黒のエチュード(1972)
                   悪の温室(1972)
                   アリバイのダイヤル(1972)
                   ロンドンの傘(1972)
                   偶像のレクイエム(1972)
                   溶ける糸(1972)
                   断たれた音(1972)
                   二つの顔(1972)
                   毒のある花(1973)
                   別れのワイン(1973)
                   野望の果て(1973)
                   意識の下の映像(1973)
                   第三の終章(1973)
                   愛情の計算(1973)
                   白鳥の歌(1973)
                   権力の墓穴(1973)
                   自縛の紐(1974)
                   逆転の構図(1974)
                   祝砲の挽歌(1974)
                   歌声の消えた海(1974)
                   ビデオテープの証言(1974)
                   5時30分の目撃者(1974)
                   忘れられたスター(1975)
                   ハッサン・サラーの反逆(1975)
                   仮面の男(1975)
                   闘牛士の栄光(1975)
                   魔術師の幻想(1975)
                   さらば提督(1975)
                   ルーサン警部の犯罪(1976)
                   黄金のバックル(1976)
                   殺しの序曲(1977)
                   死者のメッセージ(1977)
                   美食の報酬(1977)
                   秒読みの殺人(1977)
                   攻撃命令(1978)
                   策謀の結末(1978)
                   汚れた超能力(1989)
                   狂ったシナリオ(1989)
                   幻の娼婦(1989)
                   迷子の兵隊(1989)
                   殺意のキャンバス(1989)
                   だまされたコロンボ(1989)
                   完全犯罪の誤算(1990)
                   かみさんよ、安らかに(1990)
                   華麗なる(1990)
                   マリブビーチ殺人事件(1990)
                   殺人講義(1990)
                   犯罪警報(1991)
                   影なき殺人者(1991)
                   大当たりの死(1991)
                   初夜に消えた花嫁(1992)
                   死者のギャンブル(1992)
                   恋におちたコロン(1993)
                   4時02分の銃声(1993)
                   死を呼ぶジグソー(1994)
                   奇妙な助っ人(1995)
                   殺意の斬味(1997)
                   復讐を抱いて眠れ(1998)
                   奪われた旋律(2000)
                   虚飾のオープニング・ナイト(2003)
                   殺意のナイトクラブ(2003)