2009年1月27日
「12日の木曜日」
<THURSDAY THE 12th>
2000/イギリス
監督:チャールズ・ビーソン
主演:シアラン・ハインズ/マリア・ドイル・ケネディ
のタイトルを観て「ホットショット」もどきのパロディー版かと思いながら、パッケージ裏面のストーリーを読んだところ、
~7月12日木曜日、午後11時59分、ニュースの第一報が流れた。「バニスター邸殺人事件。被害者、容疑者ともに不明」欲望、嫉妬、憎しみ…幸福な家庭に見えたバニスター家に潜む悲劇。永年秘められていた憎悪、そして殺意。バニスター家に音連れ他最悪の1日=24時間。それぞれの感情が渦巻きひとつの結末を向かえる…~と記されていた。
つまり1日に起こる物語(ビデオは前編、後編でそれぞれ96分)で、それは「24」であり「恋人までの距離(ディスタンス)」を思わせる。たった1日に起こる物語は僕好みだ。
作品の構成手法がまたよかった。キーになる登場人物4人の行動が、時間軸で別の章立てになっている。同じ時間帯の場面が4回繰り返されることになるのだが、4人の視点からのシーンになるため、それぞれの思惑、行動の動機が別々の視点から具に描かれていく。目撃されているとは思っていないある主人公の行動が、実は他の3人の誰かによって目撃されており、そのことが悲劇を重ねる要因になっていくという、いくつもの伏線が張られている。この構成は見事。時間を追うごとに自分の立てた推理が崩れては、また別の推理へと誘われる。そして一気に終局へ向かう。ちなみに僕の推理は外れてしまったが、よくよく考えてみると、結果としてはこのラストでよかったのだろう。なかなかの拾い物となる作品だった。
クリント・イーストウッド監督、主演のサスペンス作品、
「ブラッド・ワーク」
<BLOOD WORK>
2002/アメリカ
監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド/ジェフ・ダニエルズ
も、楽しむことができた。そこにはいつもの渋くて優しさを醸し出すクリント・イーストウッドがいた。
元FBI心理分析官のクリント・イーストウッドが移植された心臓は、殺害された女性のもので、その女性の姉が犯人を検挙してほしいとイーストウッドを訪れるのだが、ことはそんなに単純なものではなく、猟奇犯人のある狙いがあり物語は意外な展開へと進んでいくという作品。物語はサスペンスであるため謎解きがあるのだが、その伏線と答がぴたりとあったシーンでは、思わず唸ってしまったほどよく考えられていた。これぞ、謎解きもののお手本。
クリント・イーストウッド主演の最近の作品は、「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年制作)以降観ていないので、最新作の「グラン・トリノ」<GRAN
TORINO>(2008年制作)を是非観ようと思う。昨年12月の報道では引退も取りざたされているようで、それに関した質問には、"分からないよ、でも多分ね"と、「グラン・トリノ」が最後の出演作になるような答え方をしている。