2015.04.24

 昨日に続いて残り2本の韓国作品を取り上げる。

 今回取り上げる作品は、いわゆるサイコスリラーもので、非常に悪質・残虐なストーカー・殺人鬼が登

場する。

ミッドナイトFM」<MIDNIGHT FM

2010年制作

監督:キム・サンマン 

主演:スエ/ユ・ジテ/マ・ドンソク

 

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「人気の女性ラジオDJと冷酷非情な殺人鬼の息詰る駆け引きを描いたサイコスリラー!深夜の人気ラジオ番組のパーソナリティをつとめるソニョンは、5年間続けてきたレギュラーの座を降りることになる。そして迎えた番組最後の夜、自分の指示どおりに曲を流さなければ、お前の大事な家族を殺すという何者かからの脅迫だった。」

 

    まずは舞台設定がうまい。深夜、静かな時間にラジオから流れる落ち着いた静的な声と、誘拐という動的な行動の対比が作品の

緊張を高める役割を果たしている。そして、作品は急展開し過激さを増し進行していく。

   中盤から終盤にかけての展開を考えると、主人公はもう少しひ弱な女性をキャスティングしたほうが

よかったのではないだろうか。その方が、静的な主人公が娘を救うために徐々に動的になっていくとい

う、狂気にも似た母の絶望感・必死さ・恐怖感が、さらに観客には伝わったような気がする。また、そう

することで、あのラストのシーンに、より緊迫した臨場感を出すことができたに違いない



隣人 -The Neighbors-

2012年制作

監督:キム・フィ     

主演:キム・ユンジン/キム・セロン/キム・ソンギュン 


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「カンサン団地で発生した連続殺人事件。犯人の糸口も掴めず、 

 住民たちは恐怖に怯えて生活していた。そんな中、住人たちはと

 あることをきっかけに102号室に住む男性を疑い始める」 


 おぞましいシーンが満載である反面、継母と子の切ない愛情があ

ふれ出ている作品だった。そして、小枝や紙切れ携帯電話等の小道

具の使い方がうまい作品でもあった。

   継母役の「LOST」でおなじみのキム・ユンジンは、相変わらず安

定感抜群の演技をしている。娘の帰宅を怯えて過ごす日々が、ある

少女との出会いにより変化していく。この流れと振る舞いがなんとも切ない。

   他の彼女の作品では、やはり母親役である「ハーモニー 心をつなぐ歌」((2010)「 セブンデイズ」(2007)が印象に残る作品だった。

  「ハーモニー 心をつなぐ歌」では、娘を手放さざるを得なかった状況から時が経ち、娘との再開の機会を得るが、娘の幸せを守るために、母親であることを告げることができない悲しみに打ちひしがれながらも気丈に振る舞う女性を演じていた。

 「 セブンデイズ」では、誘拐された娘を取り戻すため、とにかくテンポの速い行動的な女性を演じており、どちらも、完璧なキャスティングだった。


   娘役のキム・セロンも素晴らしく、毎日帰宅し、継母の脇を通り過ぎるシーンは何とも切なかった。冬の小鳥 (2009)とアジョシ」 (2010)を観て存在感のある子役だなとは思っていたが、この作品でもキム・ユンジンと絶妙に絡んでいた。