2015.06.03
「アイアン・スカイ」<IRON SKY>
2012/フィンランド・ドイツ・オーストラリア
監督:ティモ・ヴオレンソラ
主演:ユリア・ディーツェ/ゲッツ・オットー
ブリタニカ国際大百科事典で、「国際連合」は次のように解説されている。
「国際連盟に代わって,1945年10月24日の国連憲章に基づき設立された国際機構。国際間の平和と安全を維持し,平等と民族自決の原則に基づく諸国間の友好関係の発展を育成し,国際間の経済・社会・文化・人道的問題を解決するうえでの国際協力を奨励することを目的としている」
<作品概要>
第2次大戦後、月に移住したナチスは、もう一度地球を我がものにしようとある計画を立てていた。そして2018年、その時が来る。迎え撃つのは、国際連合軍。そして、宇宙での熾烈な対戦が繰り広げられる。
この作品は、ジャンルでいえばSFアクションになる。宇宙での対戦やナチスが地球に乗り込んで作戦を展開するストーリーは、まさにSFでありアクションエンターテインメントだ。
しかし、もう一つの見どころは、国際政治への強烈な風刺だ。2つ紹介する。
ナチスの地球襲撃に対し国連でその対処の議論がなされるが、そこでは主導権争いが展開される。結果として、アメリカがイニシアチブをとり総攻撃が決定される。
そこでわかったことは、攻撃態勢を備えた宇宙船を宇宙には配備しないという規約が定められていたにもかかわらず、各国は規約を守らず攻撃用宇宙船を密かに配備していた。これが、風刺の一つ目。
2つ目は、国連の総攻撃によりナチスは壊滅した。しかし、月には核融合燃料があることがわかる。そして、アメリカ大統領の発言。
「勝ったのはアメリカなのだから、月は当然アメリカのもの」
この他にも複数の風刺が効いたシーンがあるのでお見逃しなく。
月に核融合燃料がわかったことで、ラストでは最大の風刺が用意されている。もちろんそれは披露しません。最大のオチですから。