2015.06.23

 2015年もほぼ半分が過ぎた。現時点で238本の作品を観ている。

 最近観た作品で印象に残っている4作品を取り上げる。

 キーワードは、切なさだ。

 

「ビジター」<STATIC


2012/アメリカ

監督: トッド・レヴィン 

主演:マイロ・ヴィンティミリア/サラ・パクストン


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閉ざされた空間で、不可解な現象と正体不明の恐怖が迫るシチュエーションスリラー。郊外で暮らすジョナサン夫婦はある夜、ガスマスクを被った男たちに追われていた女性を匿う。だが彼女は連れ去られ、夫婦の周辺で不可解な現象が起こり始める。

 

舞台が池の側にある一軒家、そして子供の事故死。さらに夫婦を襲う理解不能な不審者たち。このような状況の中、最後までスリリングに展開する物語からこのラストを予測するのは難しい。まったく予想できないシナリオは見事であり、そして、切ない。


EVA<エヴァ>EVA


2011/スペイン 

監督:キケ・マイーヨ 

主演:ダニエル・ブリュール/マルタ・エトゥラ 


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2041年、ロボット科学者アレックスは、かつて憧れ、今は弟の妻となった女性の娘、エヴァにヒントを受けある開発を進めるが、エヴァとアレックスの間には共通の秘密があった

 

ラスト数分前、ある事実が披露される。この事実を知った時、実に切ない気分になる。快活な少女エヴァの笑顔がまぶしかった。






ベストセラー」<BEST SELLER


2010/韓国 

監督:イ・ジョンホ  

主演:オム・ジョンファ/リュ・スンリョン


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10年間、韓国最高のベストセラー作家として君臨してきたペク・ヒス。彼女の新作小説が盗作疑惑を受け、一瞬にして作家としての名声を失うところから物語は始まる。その後、2年間創作できない状況に陥っていたヒスは、田舎の人里離れた別荘へ娘と二人で向かう。堅く閉ざされた2階の隅にある不気味な部屋、背筋が凍るような雰囲気をもつ家で娘が奇妙な言動を取り始める

 

 盗作は事実なのか、それとも作品が事実なのか。

 この2つをうまく融合させていくシナリオはうまい。ただ、ラストは予想できてしまうが、それでも〇評価に値する出来栄えだ。

 娘が話をしたというお姉さんの気持ちを思うととても切ないが、すべてが明らかになるラストに救われる。


バービー」<BARBIE


2012/韓国 

監督:イ・サンウ 

主演:キム・セロン/イ・チョニ


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まだあどけなさの残る少女イ・スニョン彼女は、バービー人形になるのが夢の小さな妹スンジャと、知的障害を抱える父マンウの世話をしながら民宿を切り盛りし、手製の携帯ストラップを売って家計を支えていた。ある日、彼女たちのもとへ叔父のマンテクが連れてきたのは、スニョンを養女にしたいというアメリカ人のスティーブとその娘バービー。マンテクには姪の養子縁組をまとめ、金をせしめようという魂胆があった。かねてからアメリカに憧れていたスンジャは、自分が養子になりたいと言い出すが、体が弱いからとマンテクに断わられてしまうのだった。やがて、スニョンとバービーは次第に心を通わせてゆくのだが

 

 途中の段階で結末を予想できてしまう展開ではあるが、結末を予想した時から、3人の少女たちの悲しくも切ないドラマに更に気が重くなる。また、ある事実に向かい事が進んでいくのだが、時間を追うごとに人間の醜さと弱さに、そして、悲しみと虚しさ、憤りを感じてしまう。

 韓国人少女の一人がアメリカンドリームのために、非情なまでに家族を突き放すシーンが多々あり哀れに思ってしまうのだが、やはり彼女も人の子というシーンが用意されていた。

 この脚本自体が非常にいいエッセンスとなっており、この作品の結末に厚みをもたせている。