2015.08.31

女神は二度微笑む」<KAHAANI

 

2013/アメリカ 

監督:スジョイ・ゴーシュ

主演:ヴィディヤ・バラン

      パランブラタ・チャテルジー

 

 

 

 

 

<概要 公式サイト>

2年前、毒ガスによる地下鉄無差別テロ事件で多くの犠牲者が出たコルカタの国際空港に、美しき妊婦ヴィディヤが降り立った。はるばるロンドンからやってきた彼女の目的は、一ヵ月前に行方不明になった夫のアルナブを捜すこと。しかし宿泊先にも勤務先にもアルナブがいたことを証明する記録は一切なく、ヴィディヤは途方に暮れてしまう。やがてアルナブに瓜ふたつの風貌を持つミラン・ダムジという危険人物の存在が浮上。それを知った国家情報局のエージェントが捜索に介入し、ヴィディヤへの協力者が何者かに殺害される緊迫の事態に発展していく。

 

 この作品はインドのアカデミー賞と呼ばれるフィルムフェア賞で、監督賞、主演女優賞など5部門を授賞した非常にテンポの速い謎が謎を呼ぶ第一級ミステリー・サスペンス作品だ。

 スクリーンにはそこに住む人々の生活シーンや喧騒の街並みワンショットが次々と映し出される。この短くすぐに切り替わるいくつものワンシーンが、作品にテンポを与えている。

 サスペンスを面白く仕上げているのは、監督が用意した見事な結末だ。その結末を盛り上げるための犯人に迫っていく用意周到な伏線はお見事。特に、主人公のヴィディヤが妊婦という設定は秀逸だ。というよりは、この設定がなければこの作品は世には出ていなかったかもしれない。それほどこのキャラクター設定は完璧だった。

 作品の中で流れるメロウな音楽のフレーズに「「一人でもあきらめないで進んでいく」というのがある。このフレーズが、まさに孤独になってしまった主人公の気持ちを言いあらわしているのだが、実はこの歌詞も監督の素晴らしい演出のひとつだった。そんな演出に大きな拍手を送りたい。

 

 公式サイトによれば、『女神は二度微笑む』という題名にある女神とは、ドゥルガー・プージャーの祭りで祝われるヒンドゥー教の戦いの女神ドゥルガーのことを指し、ドゥルガーは優雅な容姿と激烈な気性を兼ね備えた女神と伝えられ、その極端な二面性が本作のミステリーのベースになっている、ということだ。

ちなみに、ハリウッドリメイクも決まったようなので、公開時には是非観ようと思っている。舞台はどこの都市?主人公は?伏線の張り方や表現は?

楽しみにしたい。