2016.12.17-2
「陽だまりハウスでマラソンを」
<SEIN LETZTES RENNEN>
2013/ドイツ
監督:キリアン・リートホーフ
主演:ディーター・ハラーフォルデン/ターチャ・サイブト
<概要 amazon>
元オリンピック選手で伝説のランナー・パウルは、最愛の妻の病気をきっかけに夫婦で老人ホームに入居する。
忙しく働くひとり娘に負担をかけられないからだ。70歳を越えても心身共に健康なパウルは子供だましのレクリエーションや規則にとらわれる施設側の態度に耐えられず、ウン十年ぶりに走り始めることに。
目標はベルリン・マラソン完走! 呆れ顔だった妻も、パウルの熱心な姿に影響されて名サポート役に復帰。パウルの若き日を思い出した元詐欺師で片思い中のフリッチや優雅で美しいジャンヌ・モロー気取りのモートホルスト婦人、バイオリニストの娘を自慢するはラビンスキー夫人など個性的でチャーミングな入居者たちはにわか応援団を結成し、ホームは賑やかに変わっていく。
ところが、大会が近づいたある日、妻が倒れるアクシデントが! 最大の理解者を失って動揺するパウルを施設は「老人性うつ」と診断。自由に走ることすら許されない状況に。
果たしてパウルはベルリン・マラソンに出場することができるのか―?
作品の趣は全く異なるが、「カッコーの巣の上で」を思い出した。
管理する側とされる側の視点の相違が双方に負荷をもたらす、という構図はどちらの作品にも共通する。
作品では、自由に自分の道を行くことに決めたパウルがその意志を貫き、ついには自由を獲得する。そしてその自由を老人ホームにも拡散させていく、というハッピーエンドで物語は幕を閉じる。
パウルが作品の主人公ではあったが、妻を演じていた老女優の存在こそが、この作品の評価を上げたと思っている。とても好感の持てる妻役だった。