2016.12.18-2
「大統領の執事の涙」
<LEE DANIELS' THE BUTLER>
2013/アメリカ
監督:リー・ダニエルズ
主演:フォレスト・ウィテカー/オプラ・ウィンフリー
<概要 amazon>
綿花畑の奴隷として生まれたセシル・ゲインズは、見習いからホテルのボーイとなり、遂には、ホワイトハウスの執事にスカウトされる。
キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争・・・
アメリカが大きく揺れ動いていた時代。セシルは、歴史が動く瞬間を、最前で見続けながら、忠実に働き続ける。
黒人として、そして、身につけた執事としての誇りを胸に。そのことに理解を示す妻とは別に、父の仕事を恥じ、国と戦うため、反政府運動に身を投じる長男。
兄とは逆に、国のために戦う事を選び、ベトナムへ志願する次男。
世界の中枢にいながらも、夫であり父であったセシルは、家族と共に、その世界に翻弄されていく。彼が世界の中心で見たものとは?
そして人生の最後に流した、涙の理由とは―
第34代大統領アイゼンハワー以降、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガンの執事というだけでも興味をそそられた。
しかし、それ以上に物語は内容の濃いものだった。
白人から好かれる黒人、と父を軽蔑し反政府運動に身を投じた長男。国に尽くそうとベトナム戦争に行った次男。夫の辛さを理解し心から誇りに思う妻。そして、黒人として、執事として、家族を守る父親としての誇りを持つ主人公。
こういった人々が織りなすドラマに加え、作品ではホワイトハウスでの執事の仕事や大統領との関わり方や裏方業務などが展開される。
作品は、引退した主人公がホワイトハウスに招待され大統領執務室に入っていく場面で終わるのだが、そのシーンにこそ、この執事の生きざまと気高き誇りが集約されていた。
ちなみに、オバマ大統領はこの作品を観て、「目に涙あふれた」とラジオで語り全米で話題になったようだ。