2017.11.05
「カプチーノはお熱いうちに」
<ALLACCIATE LE CINTURE>
2013/イタリア
監督:ルザン・オズペテク
主演:シア・スムートニアック
フランチェスコ・アルカ
<概要 公式サイト>
南イタリアの美しい街、レッチェ。カフェで働くエレナは、雨の日のバス停で、アントニオと出会った。アントニオは、カフェでの同僚シルヴィアの恋人だった。性格も生き方もまるで違うのに強く惹かれあった二人は、周囲に波乱を起こした末、その恋を成就させ結ばれる。13年後、ゲイの親友ファビオと独立して始めたカフェが成功し、アントニオとの間に二人の子供をもうけ、公私共に多忙な日々を送っていたエレナを病魔が襲う…。
当たり前のことではあるが、夫婦の愛にはさまざまな形がある。
この作品はイタリア映画のためイタリア人気質がいたるところに溢れている。そのため日本人の感覚ではなかなか理解しがたいところもあるのだが、愛情表現に関しては夫婦を超えた真の人間愛が絶妙なタッチで描かれている。
夫とエレナが病床で抱き合うシーンとそこに添えられた会話は、僕の記憶に一生残るものだった。真に人を愛しいたわり思いやることが、1分強のシーンにギュッと凝縮されていた。
後半になるにつれエレナの病魔が進行していくカットが増えてくるのだが、そこはイタリア人が監督なのでそれほど陰湿なものにはなっていない。あるシーンではジョークも飛び出す。
全体的には人生に対して開放的で前向きな姿勢が印象として残る作品に仕上がっている。
この作品は、この先エレナがどうなるかは鑑賞者に委ねられたエンディングになっているため、生き方や考え方が違う鑑賞者自らを作品に投影しない限り、つまり、第三者的評価をしている限り、この作品の良さを深く理解することは難しいのではないだろうか。
自身を登場人物の誰かにオーバーラップさせたとき、おそらく自身の人生について振り返り将来の人生についても深く考える機会をこの作品は与えてくれるはずだ。