2019.06.15

 パーフェクト・リベンジ 

MATAR EL TIEMPO 

 

2018/スペイン・アメリカ 

監督:アントニオ・エルナンデス 

主演:ベン・テンプル/ヨン・ゴンサレス 

 

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金融関係の仕事でアメリカからスペインに出張中のロバート。2週間の滞在中、毎日がホテルと職場の往復に倦み疲れた彼は、ビデオチャットで出会ったスペイン人のサラと多くを語ることなく昼下がりの情事を楽しんだ。家族との関係に悩んでいた寡黙なロバートにとって、サラは目の前に現れた奇跡の女神のようだった。数日後、サラからのビデオ通話を受けたロバートは、再び会う約束を取りつけた。しかしその時、突然サラの部屋に2人組の男たちが押し入り、彼女と激しい口論が始まってしまう。言葉が分からず事態を把握できないロバートだったが、いつサラが暴行されてもおかしくない状況下であることには間違いなく、彼女を救出するために頭をフル回転させ決死の行動に出ようとするのだが 

 

期待値を相当上回った作品だ。一言でいえば、普通の気弱なおじさんが関係を持ってしまった女性のために危険を冒す物語だ。 

前半はスローなテンポのため嫌な予感。このまま盛り上がりものなく最終章までいかないよな、の思いが頭によぎる。しかし、あることをきっかけに歯車の回転数は徐々にスピードを上げていく。ここまでくるともう安心。伏線が長すぎるのは欠点ではあるが、転結にかんしてはいい感じだ。 

 おじさんの容貌がどう見ても小心者にしか見えない。このキャスティングは素晴らしい。このおじさん、意外と行動的じゃないか!と言うのが敵地に乗り込むシーン。機転を利かせ難局を乗り切り、さらに犯人を懐柔し自分のペースにしていく様はなかなかのものだ。女性との最後のシーンはもう少し盛り上がりを期待したが、あっけないほど簡単に終わった。監督には観客サービスしてほしかった。結末は変わらなくても、もう少しおじさんに優しくしてもよかったのでは、とおじさんである僕は思った。

 

 

 

 ユージュアル・ネイバー

THE HARVEST 

 

2013/アメリカ 

監督:ジョン・マクノートン 

主演:サマンサ・モートン/マイケル・シャノン 

 

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父親が死んで以来、立ち直れていない少女のメリアンは、NYに住む祖父母の家に引き取られることに。家の近所を探索していると、ある一つの家を発見。そこで、同年代で寝たきりの少年、アンディに出会う。ずっと病気で学校にも行っていないアンディは、初めて出来た友達に興奮、それから二人はしばしば一緒に時間を過ごす。 

アンディの父親のリチャードは、息子に友達が出来た事を喜んでいたが、母親で外科医のキャサリンは、なぜかメリアンの存在を快く思っておらず攻撃的。 

ついには二度と来ないでほしいと突き返す。何かがおかしいと思い始めた彼女は、調査を始めるうちについに衝撃的な事実に辿りつく・・・

 

 

 結末が読めそうで読めない作品だった。脚本の賜物だろう。 

 観客は後半でこの作品の結末を自分なりに想像したに違いない。ところが、その想像とは違う結末を見せられ、やられた!と思ったことだろう。 

 この作品の恐ろしさは、常識では到底許されないことに対し躊躇なく自己を正当化してしまう人間の心の闇が描かれている点にある。 

 母親のエスカレートしていく言動には鳥肌が立った。容貌も作品冒頭に見せた柔和な顔から、徐々に笑顔のない、また、憎悪に満ちた表情に変化していく。ああ、恐ろしや。