2019.08.03 

 エンドレス 繰り返される悪夢

A DAY 

 

2014/韓国 

監督:チョ・ソンホ 

主演:キム・ミョンミン/ピョン・ヨハン   

 

<概略 amazon 

世界的に有名な胸部外科医ジュニョン(キム・ミョンミン)は娘の誕生日に約束の場所へ向かう途中、交通事故現場で亡くなっている娘ウンジョン(チョ・ウニョン)を発見する。 

衝撃も束の間、次の瞬間、彼は娘の事故2時間前に戻っていた。どうにかして事故を防ごうとするが結果は変わらず、毎日娘が死ぬ地獄のような一日を繰り返していたある日、ジュニョンの前に同じく事故で妻を失い、あの日を繰り返している男ミンチョル(ピョン・ヨハン)が現れる。理由も分からないまま、不意の事故で時間が止まった2人は力を合わせて一日の終わりを変えようとするが…。

 

時空もの作品は、主人公一人が別の時代へ行き、そこで何かを解決、あるいは、対応するというものが比較的多いのだが、この作品は、似たような苦しみを抱えている2人が別の同時代にタイムスリップしそれぞれの存在を知る。そこで二人は試行錯誤を重ね一歩ずつ望む帰結に近づいていく。この帰結に向かいこの作品の主題を伝えるために、監督は、さらに似たような苦しみを抱える第3の人物を登場させ物語はテンポを俄然上げていく。

 

3の人物登場以降、なぜこの事故が起きたのかが推理ドラマのようなタッチで明らかにされていき、終盤で観客はその理由を知ることになる。倫理的には許せないことだが、心情的には理解できる、と思える事実描写が観客自身に究極の選択の気持ちを呼び起こさせ自問自答させたに違いない。そして娘を助けるために主人公が選んだやり方に多くの観客は納得をしただろう。 

 

世の中には、きれいごとでは済まされないことが多々ある。とは言へ実行は法的にも倫理的にも許されない。脚本は人間としての知見を主題に置いているのだろう。その大きなテーマを表現するためにこのような内容で時空を利用した脚本は実に見事だった。