2021.02.13
「ハイウェイの彼方に」
<ADOPT A HIGHWAY>
2019・アメリカ
監督:ローガン・マーシャル=グリーン
主演:イーサン・ホーク
<概要:SONY PICTURES公式サイト>
マリファナ所持の罪を重ねたため、20年もの実刑を受け出所したばかりのラス。インターネットの使い方も分からず社会復帰に苦労するなか、ある日皿洗いの仕事をしているファストフード店の裏のゴミ捨て場で赤ちゃんを見つける。戸惑いながらも彼は赤ちゃんを育てることで人生のやり直しをしようと思い始めるが…。
アメリカに限らずどこの国でも犯罪者への視線は厳しく冷たい。
ラスは再逮捕に怯える生活を毎日送っている。一時も心が安らぐことはない。そのざわつく棘がある心を癒してくれ、穏やかな気持ちにさせてくれたのが、偶然見つけた赤ちゃんだった。赤ちゃんは政府の規定に則り保護ざれる。再度、彼の心は虚無感に覆われる。ラスはバスで故郷に向かい父の墓前に立つ。そして、亡父からの思いもよらない大きな愛を受け取ることになる。ラスは作品終盤であることをする。真人間への一歩であり、間違いなくそうなると思わせる素晴らしいシーンだった。
ラスが再逮捕を恐れていたのは、三振法(Three-strikes law)が理由だった。
Wikipediaから要約する。
1990年代にアメリカ合衆国において州法として成立した法律の総称。制定当初は重罪(死刑又は長期1年以上の刑の科せられる犯罪)の前科が2回以上ある者が3度目の有罪判決をうけた場合、その者は犯した罪の種類にかかわらず終身刑。
アメリカでは凶悪犯罪者の多くは常習犯で、以前にも他に明らかになっていない重罪を犯している場合が多い。このため累犯者を微罪でも終身刑にすることで重罪を未然に防ぐことができるという考え方と、二度の犯罪歴を持つ者が軽微な違反で三振法に抵触し2ドル50セントの靴下の万引きで終身刑やピザ一切れを奪ったとして懲役25年等が発生しているため、刑事罰と犯罪事実のバランスを著しく欠くとして、司法機関からの批判的な見解も示されている。
このような見解を受け、いくつかの州では三振の条件を緩和したり、課する刑を軽くしたりする法改正がなされており、三振法自体の定義を、「重罪の前科が2回以上ある者が3度目の重罪による有罪判決をうけた場合には通常より重い刑を科されるとする法律」に改正している。