2021.06.20

パリ、嘘つきな恋

TOUT LE MONDE DEBOUT

 

2018/フランス

監督・主演:フランク・デュボスク

 

<概略 amazon

ジョスランはパリの大手シューズ代理店で働くビジネスマン。イケメンでお金持ちで女性にモテるが、恋愛に求めるのは一時的な楽しさだけ、という軽薄な男。ある日、ひょんなことからジョスランが車椅子に座っていると、偶然美しい女性ジュリーと遭遇。彼女の気を引くために「自分は車椅子生活だ」と、とっさに嘘をついてしまう。すっかり信じたジュリーが彼に紹介したのが、姉のフロランス。車椅子生活を送りながらも、ヴァイオリニストとして世界中を飛び回り、快活でユーモア溢れる魅力的なフロランスと出会い、ジョスランは本気で恋に落ちる。2人はデートを重ね、互いに惹かれていくが、ジョスランはまだ最初の嘘をついたまま。一方、実はフロランスも彼に隠し事があるようで・・・?果たして、トンデモナイ嘘から始まった恋の行方は! ?

 

悪意があってウソをついたわけではなかったのに、ついてしまったウソ。そのウソを取り消したいのにきっかけがつかめず時間だけが過ぎる。そして、ついにウソだったことがバレてしまい破綻や破局の道へと向かっていく。そこからは、空虚な時間だけが過ぎていく。ところが、ある日、物語は急展開。ウソをついたことへの謝罪と受容が待っており、双方で想いを確認し確信。手を取りそっと抱きしめキスをし二人は幸せな未来に向かって歩き出す。

 このような骨子にいろいろな設定が付加されひとつの物語になっていく。この作品のメインエッセンスは言うまでもなく車椅子。ひくにひけないウソの車椅子生活を演出するジョスラン。実はほぼ最初からウソに気づいていたジュリー。そんな中で心高ぶり次第に惹かれあっていくものだから、ついてしまったウソが重く心にのしかかる。僕ら観客は早くウソをついたことを告白すればいいのに、とやきもきする。観客の心理を十分に把握し物語を構成した監督の手腕に大きな拍手を送ります。