2022年1月30日
「僕を育ててくれたテンダー・バー」
<THE TENDER BAR>
2021・アメリカ
監督:ジョージ・クルーニー
主演:ベン・アフレック
子供のJRにとり父親の愛情はかけがいのないもの。作品では父親は家族を捨てたため一緒に暮らしてはいないが、母、叔父、祖父母、そして、JRを大切に想い接してくれる多くの常連客が、大きな愛情をもってJRを見守った。JRは精神的な豊かさと愛情に包まれ、子供から青年、そして、大人になっていく。
叔父はディケンズというバーを経営している。店の名前は小説家のチャールズ・ディケンズからとっている。そんな叔父は博識で情緒豊かでユーモアに富んでいる。飲み屋のバーカウンターに子供が座り食事をしている。様々な大人の会話が耳に入るだろうが、暖かく子供のJRを見守り囲む大人たちの視線はあくまでも優しい。
一般的に、この環境が子供にとって良いとは言えないだろうが、彼の人生には大きな影響を与えただろう。人々の優しさや思いやりを経験し他者のことを考えることができるようになったのではないだろうか。多方面のウイットや様々な知識も得たに違いない。様々な環境に様々な人々が集まる。そこに集った人々が、この作品のような登場人物である限り、そこにいる子供にとって、とても貴重で大切な時間と言えるのではないだろうか。