2022227

否定と肯定

DENIAL

 

2016イギリス・アメリカ          

監督:ミック・ジャクソン

主演:レイチェル・ワイズ

 

<概要 amazon

ユダヤ人の女性歴史学者リップシュタットは、「ナチスによる大量虐殺はなかった」と主張する歴史家アーヴィングを批判し、名誉毀損で訴えられてしまう。提訴された側に立証責任があるイギリス司法制度のもと、彼女と弁護団はホロコーストの存在を証明するためアウシュビッツへ向かう。弁護団は生存者の証言には頼らない秘策で戦いに挑もうとするが、リップシュタットは猛反発。世界中が注目する前代未聞の裁判がついに始まるのだが......

 

1996年に提訴された実話である。

事実関連の記載はWikipediaから引用した。

作品は『否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる戦い』が原作で、アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件が扱われており、裁判では名誉棄損で訴えられたリップシュタット教授が勝訴する。イギリス高等法院判事は事実認定を次のように要約した。

「アーヴィングは彼自身のイデオロギー的理由から、歴史的証拠を持続的かつ故意に間違って解釈し操作しており、同じ理由から、彼は主としてユダヤ人に対するヒトラーの態度や責任の面で、ヒトラーを不当に好意的な人物のように見せかけており、彼は積極的なホロコースト否認論者であり、反ユダヤ主義者、差別主義者であり、ネオ・ナチズムを推進する右翼の過激主義者たちと協力しており、…… したがって被告の立証は成功している……。その結果として被告を支持する判決が下されなければならないということになる」

その後、敗訴した歴史家アーヴィングは控訴するが却下される。2006年、アーヴィングはオーストリアで1989年に行った演説で逮捕される。ホロコーストの否定を禁じる同国の法に違反していたからだ。 

 

そもそも“ホロコーストはなかった”などという発想は、如何にして出てくるものなのか。多くの歴史学者による検証や記録映像・写真、資料、また、多くの証言がホロコーストの事実を立証している。イギリス高等法院判事は事実認定で、これまでの彼の発言や行動を検証した上で、彼を差別主義者と分析している。彼の異常ともいえる強い差別主義が、事実である歴史をさえも躊躇なく歪曲し否定させてしまったのだろう。