2023.02.11

茜色に焼かれる

 

2021・日本

監督:石井裕也

主演:尾野真千子

 

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「まあ、頑張りましょう。」

その一言で日々のやるせない感情を鎮めて日々を過ごす母・田中良子。幼い頃に交通事故で父を亡くし、混沌とした時代と社会の中で、実直に自らの正義を見出さんとする中学生の息子・純平。母ひとり、子ひとり、互いの日常を取り巻くことごとく理不尽な出来事に、張り裂けそうな想いを抱えてこの世界を生きている。どんな困難でも、何が起ころうとも、それでも前を向き、信念を貫ける理由とは?これは、圧倒的な愛と希望の物語。

 

主演女優、尾野真千子の圧倒的な存在感と生命力を感じたとても印象に残る作品だった。

一般的に、多くの人は、世の中は理不尽で厳しい世界だと感じているのではないだろうか。それでも、人は現実と対峙し生きていく。その人の強さや生きる衝動はどこからくるのだろうか。それぞれに、それぞれの理由がある。

主人公の田中は社会的弱者に優しくない世の中に対して不満をぶつけることはしない。ただひたすら、その環境下で必死にもがき生きている。ただ彼女の心の中には、切なさややるせなさ、悔しさや憤りの感情が鎮座している。そのいくつもの感情と共存し、自らを鼓舞し生きている。そんな彼女の行動と言動に僕はエールを送っていた、負けるな!と。

 

ちなみに、僕が現実と対峙し生きている理由の一つは、自己実現のためで、それにより生を感じ充実感を得ることができるからだ。この考え方は、これからも変わらないだろう。