2023.03.26

 

きっと、またあえる

CHHICHHORE

 

2019・インド

監督:ニテーシュ・ティワーリー           

主演:スシャント・シン・ラージプート  

 

<概要 amazon

受験生の息子が病院に担ぎ込まれた!そこに集まった、今は親世代になったかつての7人の仲間たち。年を重ねて、色々変化はあるけれど、あの日の友情は変わらない。親友アニの受験に失敗した息子を励ますため、悪友たちは「負け犬時代」の奮闘を病室で語り出す---90年代、インドでもトップクラスのボンベイ工科大学に入学したアニ。しかし振り分けられたのはボロボロの4号寮。気のいい先輩や愉快な仲間はいるが、そこは寮対抗の競技会で万年最下位で、他の寮から“負け犬”と呼ばれていた。しかし今年はなんとしても汚名を返上する!そのためには、バスケ、サッカー、重量上げ他、多種の試合に勝つ必要があった。4号寮は知恵とやる気とチーム力であらゆる手段を使い勝ち抜いていく。だがライバルも黙ってはいない。果たして、勝利を手にすることはできるのか、そして彼らが最後に得たものは?!

 

衝撃的な出来事から物語が始まった。

内容を知らずに観たため悲惨な展開なのだろうと予想したが、いい意味で裏切られた。

諺の「まさかの時の友こそ真の友」(不慮の窮地に手を差し伸べてくれる友人こそが、本当に友人と言うべき存在である)の真の友は、まさに彼らの関係だ。時が経っても熱い友情に変わりはない。

作品の展開としては今と昔の出来事が描写され、今抱えている主人公の問題が解決されていく手法を採っている。この展開はベタではあるものの説得力があり好感が持てた。

仲間っていいな、と思えた作品だった。

 

 

 

似たようなインド作品に「きっと、うまくいく」がある。この作品も僕は◎を付けた。20159月にコメントしているのでそのまま掲載する。

 

「きっと、うまくいく」<3 IDIOTS

2009/インド

監督:ラージクマール・ヒラニ

主演:アーミル・カーン/R・マドハヴァン/シャルマン・ジョシ/カリーナ・カプール

 

2010年インドアカデミー賞史上最多16部門受賞

インド歴代興行収入ナンバーワン

全世界興収75億円

世界でリメイク決定

 

<概要 公式サイト>

【舞台は日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学ICE。未来のエンジニアを目指す若き天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラージューの“三バカトリオ”が、鬼学長を激怒させるハチャメチャ珍騒動を巻き起こす。彼らの合言葉は、「きっと、うまくいく!!」

抱腹絶倒の学園コメディに見せかけつつ、行方不明になったランチョーを探すミステリー仕立ての“10年後”が同時進行。

その根底に流れているのは、学歴競争が加熱するインドの教育問題に一石を投じて、真に“今を生きる”ことの素晴らしさを問いかける万国普遍のテーマなのだ。】

 

文句なく◎のスプレンディッドな作品。

170分という3時間近い作品でありながら、あっという間にエンディング。それほど展開が早く、まったく観客を飽きさせない物語がスクリーンに踊っていた。

楽しい踊りがあり、謎解きがあり、危機一髪があり、社会性にも富んでいる。それらを根幹から支えているのが、笑いや喜びや悲しみ、恋心や勇気など、映画には欠かせない人間の感情を揺さぶるような脚本に他ならない。

 

それもそのはずで、インド新聞から引用する。

 

【インド映画は「マサラムービー」とも呼ばれている。<マサラ>とはミックススパイスのこと。愛あり、涙あり、笑いあり、サスペンス、ヴァイオレンスあり。あらゆる娯楽要素を入れるのがお約束。”ナヴァ・ラサ”(9つの情感)と呼ばれる、色気(ラブロマンス)・笑い(コメディー)・哀れ(涙)・勇猛さ(アクション)・恐怖(スリル)・驚き(サスペンス)・憎悪(敵の存在)・怒り(復讐)・平安(ハッピーエンド)を1本の映画に放り込み、歌&踊りを随所に織り込んで出来上がったエンターテインメントフィルム、それが<マサラムービー>】

このようにこの作品には、9つの感情がごく自然に、しかも、完璧なまでに織り込まれている。楽しめたのは当然だ。

 

作品の構図としては、無機質で成果のみを求める悪玉の学長と、仲間には一切苦労話をせず、「Aal izz Well」と自分を鼓舞している努力家で人間味あふれる善玉の主人公との対立を軸に、さまざまな喜怒哀楽のエピソードが添えられている。

 

僕が◎をつける作品には社会派作品が多いのだが、この作品もインドが抱えている問題を扱っている。

超難関大学に入るためには多額のお金がかかる。しかし、入学者全員が裕福な家庭の出身ではない。そこには、貧富の差が歴然と出てしまうカースト制度が存在している。この作品でもこの事実が描かれている。

また、経済発展著しい競争・学歴社会のインドの一面を、学長を通し「2番では意味がない」とも表現させている。

このようなインドの厳しい背景を幹にしているからこそ、主人公たちの喜怒哀楽、奮闘がより際だって見えたのだろう。

 

 

 とてもわかりやすい流れに主人公たちの魅力が相まって、観た後に、とても幸せでほっこりした気持ちになれる最高の作品だった。