2024.02.06

共謀家族

<誤殺>

 

2019・中国

監督:サム・クアー

主演:シャオ・ヤン

 

<概要 amazon prime

リー・ウェイジエ(シャオ・ヤン)は妻のアユー(タン・ジュオ)、高校生の娘ピンピン(オードリー・ホイ)、幼い娘アンアンの一家4人で幸せな毎日を送っていた。リーは、信心深く穏やかな人柄で、地域の誰からも好かれていた。ある日、サマーキャンプに出掛けた長女のピンピンが、不良高校生スーチャット(ビアン・ティエンヤン)に睡眠薬を飲まされて暴行され、その様子をスマホで撮られてしまう。ネットに動画を上げると脅されたピンピンはスーチャットと揉み合いになり、誤って彼を殺してしまう。スーチャットは、警察局長ラーウェン(ジョアン・チェン)の一人息子だった。映画マニアであるリーは、愛する娘と家族を守るため、それまで観てきた膨大な犯罪映画のトリックを応用し、完璧なアリバイ作りに着手する―。

 

結末が読める展開ではあったが、それでも充分堪能できた作品だ。

アリバイ作りはサラッと描写のため、後々の伏線回収に不安を覚えるが、そんな不安を他所にお話はどんどん進行する。ただ、さすがに気になるところがあった。しかも、見せ場のシーンだった。細かくは言えないが、ヤギはだめだろう。

さて、主人公の生真面目さと家族への想いと愛情が、このアリバイ作りを実行させ可能にしたと思うのだが、どこまでを愛情と言っていいかは難しいところでもある。

エッセンスと言う観点からでは、2017年に制作された韓国作品「沈黙、愛」(実業家イム・テサンの恋人が殺され、彼の娘ミラが殺人容疑で逮捕された。イムは娘の嫌疑を晴らすため弁護士を雇い、裁判が始まる。そんな中、「殺害時の盗撮映像を持っている」という青年が現れ、事件は想像を超えた真相へと一気に加速していく)と似ている。

 

エッセンスが似ているこの中国と韓国作品の表層的な最大の違いは、父親の描写だったと思うが、父親の想い、と言う深層的な点では両者とも同じだった。