2009年3月4日
第81回アカデミー賞主演女優賞は、主演女優賞4度目のノミネートの末に「愛を読むひと」のケイト・ウィンスレットが獲得した。1982年「ソフィーの選択」で主演女優賞獲得歴のある メリル・ストリープは受賞を逃す結果となった。
先日、メリル・ストリープがほぼ終わりのシーンに登場する
「いつか眠りにつく前に」<EVENING>
2007/アメリカ・ドイツ
監督:ラホス・コルタイ
主演:クレア・デインズ/ヴァネッサ・レッドグレーヴ
を観たが、わずか10分くらいのシーンであるにもかかわらず、主演女優賞獲得1回、主演女優賞ノミネート11回、助演女優賞獲得1回、助演女優賞ノミネート2回の実力派女優の演技に魅せられてしまった。
それもそのはずで、そのシーンの相手は、これまた主演女優賞ノミネート4回、助演女優賞獲得1回、助演女優賞ノミネート2回のヴァネッサ・レッドグレーヴ。演技派女優が競演し響きあいスクリーンをツーショットで飾ったら、リアリティー100%になるのもうなずける。
作品は、ベッドに横たわる死期迫りつつある老婦人、アン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の若かりし日が、回想シーンの形態を採りながら描かれるのと並行し、その老婦人を見舞う娘たちの今と娘たちが抱える問題が描かれている。
既述したシーンは、互いに老婦人となったライラ(メリル・ストリープ)と病床のアンが、ともに過ぎた日々、そしてその日々を精一杯いきていきたことを静かに語り合うシーンになる。二人のツーショットが終わり、ライラがアンの娘に語るシーンも味わいのある台詞が用意されている。人生に悩みを抱えるその娘に、年老いたからこそ言える、またアンのことを本当に理解している親友だからこそ語れる力強くかつとても優しい台詞だった。
この作品の軸はアンを中心に描かれていくのだが、僕には、老婦人となりわずか10分足らずの出演に過ぎないメリル・ストリープの印象があまりにも強く残る作品だった。
◆アカデミー賞履歴
メリル・ストリープ
受賞
1982:主演女優賞 「ソフィーの選択」
1979:助演女優賞 「クレイマー、クレイマー」
ノミネート
2008:主演女優賞 「ダウト ~あるカトリック学校で~」
2006:主演女優賞 「プラダを着た悪魔」
2002:助演女優賞 「アダプテーション」
1999:主演女優賞 「ミュージック・オブ・ハート」
1998:主演女優賞 「母の眠り」
1995:主演女優賞 「マディソン郡の橋」
1990:主演女優賞 「ハリウッドにくちづけ」
1988:主演女優賞 「A CRY IN THE DARK」
1987:主演女優賞 「黄昏に燃えて」
1985:主演女優賞 「愛と哀しみの果て」
1983:主演女優賞 「シルクウッド」
1981:主演女優賞 「フランス軍中尉の女」
1978:助演女優賞 「ディア・ハンター」
ヴァネッサ・レッドグレーヴ
受賞
1977:助演女優賞 「ジュリア」
ノミネート
1992:助演女優賞 「ハワーズ・エンド」
1984:主演女優賞 「ボストニアン」
1971:主演女優賞 「クイン・メリー/愛と悲しみの生涯」
1968:主演女優賞 「裸足のイサドラ」
1966:主演女優賞 「モーガン」
ケイト・ウィンスレット
受賞
2008:主演女優賞 「愛を読むひと」
ノミネート
2006:主演女優賞 「リトル・チルドレン」
2004:主演女優賞 「エターナル・サンシャイン」
2001:助演女優賞 「アイリス」
1997:主演女優賞 「タイタニック」
1995:助演女優賞 「いつか晴れた日に」