2009年3月29日

 

 シャーリー・マクレーン主演の作品は、はずれが少ない、というのが僕の感想だ。下段に彼女の出演作品を記している。僕が観たのは色つきの作品で、赤が◎、青が○評価だった。
 決してたじろぐことなく、一度決めたらたんたんと、そしてひょうひょうとわが道を突き進んで生きていく女性を演じるのが、まさに彼女の十八番。たとえマイナスな事柄であっても、常に彼女が持つ前向きな解釈とユーモアでその壁を越えていく。わざととぼけた顔をしてブラックジョークをいうときの、あるいはきつい皮肉を嫌味たっぷりに混ぜていうときの彼女は何度観ても最高だ。
 今回観た、

 

あの日の指輪を待つきみへ

<CLOSING THE RING>

2007/アメリカ 

監督:リチャード・アッテンボロー 

主演:シャーリー・マクレーン/クリストファー・プラマー


でも、彼女らしさがいかんなく発揮されていた。
 なんの予備知識も持たずに、この作品を観たのだが、前回のコラムで取り上げた「いつか眠りに就く前に」と同じ匂いを感じさせる作品だった。
 

 作品は主人公エセル・アン(シャーリー・マクレーン)の青春時代とそれから50年が経った現代の二つの時代が交互に描かれる。時代でいえば、第二次世界大戦前夜の1941年と50年後の1991年ということになる。
 エセル・アンは心の奥深くに決して吐露できない秘密を抱えているが故に、これまで幸せな人生を送ってきたわけではなかったことが、物語が進むにつれわかってくる。後半では、1991年のアメリカからアイルランドへと舞台が移る。
 1941年、アイルランドで起きたあるできごとにより、彼女の心は死んでしまい時間は止まっていた。しかし、50年の時を経たアイルランドでの偶然のある出会いが彼女を待ち受けており、そのことによって彼女の死んでしまっていた心にほのかであるが灯りが燈され、物語は結末へと進んでいく。
 

 1941年と1991年という時代、アメリカとアイルランドという舞台設定、エセル・アンを気遣う家族や友人たち、そして長い時間軸の中で張られた見事な伏線による人物たちの登場により、とても見ごたえのある大河ドラマのような作品となり、久しぶりに◎の評価となった。

 

                 シャーリー・マクレーン出演作品

 

                 あの日の指輪を待つきみへ (2007)
                 奥さまは魔女 (2005)
                 イン・ハー・シューズ (2005)
                 迷い婚 -すべての迷える女性たちへ- (2005)

                 エリザベス・テイラー ハリウッドの宝石箱 (2003)
                 だって女優ですもの! (2001 )
                 シャーリー・マクレーン/銀幕に輝いて (2000)
                 ヴァージン・ブレイド (1999)
                 ぼくが天使になった日 (1999)
                 くちづけはタンゴの後で (1996)
                 夕べの星 (1996)
                 不機嫌な赤いバラ (1994)

                 潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ (1993)
                 迷子の大人たち (1992)
                 あなたの死後にご用心! (1991?)
                 ハリウッドにくちづけ (1990)
                 ミラクル/バックリーの魔女たち (1990)
                 マグノリアの花たち (1989)

                 マダム・スザーツカ (1988)
                 アウト・オン・ア・リム/自分探しの旅 (1987)
                 愛と追憶の日々 (1983)
                 キャノンボール2 (1983)

                 ラヴィング・カップル (1980)
                 LOVEシーズン (1980)
                 シャーリー・マクレーン・アット・リド (1979)
                 チャンス (1979)
                 愛と喝采の日々 (1977)

                 真昼の死闘 (1970)
                 スイート・チャリティ (1968)
                 女と女と女たち (1967)
                 おかしな夫婦・大逆転!? (1966)
                 泥棒貴族 (1966)
                 黄色いロールス・ロイス (1964)
                 何という行き方! (1964)
                 あなただけ今晩は (1963)
                 すれちがいの街角 (1962)
                 青い目の蝶々さん (1961)
                 噂の二人 (1961)
                 アパートの鍵貸します (1960)
                 オーシャンと十一人の仲間 (1960)
                 凡ては夜に始まる (1960)
                 カンカン (1960)
                 恋の売り込み作戦 (1959)
                 果てしなき夢 (1959)
                 縄張り (1958)
                 走り来る人々 (1958)
                 花嫁売り込み作戦 (1958)
                 80日間世界一周 (1956)
                 画家とモデル (1955)
                 ハリーの災難 (1955)