2013年3月31日

 

まさに着想が秀逸な「ミッション・8ミニッツ」<SOURCE CODE>(2011/アメリカ 監督:ダンカン・ジョーンズ 主演:ジェイク・ギレンホール/ミシェル・モナハン)、そして「TIME/タイム」<IN TIME>(2011/アメリカ 監督:アンドリュー・ニコル 主演:ジャスティン・ティンバーレイク/アマンダ・セイフライド)を観た。
 前作は「月に囚われた男」を監督したダンカン・ジョーンズの作品だ。「月に囚われた男」もどちらかと言えば、不思議な世界観と着想の面白さで97分間を楽しませてもらった作品だったが、アイデアと言う観点から言えば、「ミッション・8ミニッツ」は、その数倍の魅力があった。
 前半は、なぜそのようなことが起きているのかに考えを巡らせた。似たような、しかし、間違いなく進展していくストーリーを観ているうちに、状況と理由がわかってくる。そして最後には、荒唐無稽と思えたこの作戦が、妙にリアリティーをもって迫ってくる。いつのまにか、完全に8分間のミッションに声援を送っていた。

 ウォルト・ディズニー・スタディオ・ジャパンに掲載されている作品紹介文を引用する。
「シカゴ行きの通勤列車が爆破され、乗客全員が死亡。米軍のスティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)は、政府の極秘ミッションとして、特殊なプログラムを用いて乗客が死ぬ直前8分間の意識に侵入し、爆破の犯人を暴いて次なるテロを阻止する任務を課せられる。何度も犠牲者の意識に送り込まれ、死んではまた甦る、という悪夢のような<8分間>を繰り返し、少しずつ犯人に近づいていく一方で、スティーヴンスの心には次第に疑惑が膨らんでいく。爆破を防ぐことで乗客の命は救えるか?そして、なぜ自分がこの特殊任務に選ばれたのか?事件の真相、そして秘められた謎と禁断の事実に迫っていく彼を待ち受けていたのは…」
 
 ミッションを遂行しているスティーヴンスが語り見た光景により、観客はさらに深いこの作品のアイデアに魅せられるに違いない。さすがディズニーの作品だった。

 そして、もう1本の「TIME/タイム」は、「ガタカ」のアンドリュー・ニコルが監督だ。
 「ガタカ」の舞台は、遺伝子工学が発展した近未来。社会は遺伝子の優劣においてのみ人間の才能を判断している。適正者と不適正者という対立軸の世界が描かれていたが、「TIME/タイム」では、富裕ゾーンとスラム・ゾーンで生活する人々の対立軸が描かれている。

 FOXムービーに掲載されている作品紹介文を引用する。
「人類が科学技術の発展によって老化を克服した近未来。両親も兄弟姉妹も友人や同僚も、すべての人間の成長が25歳でストップするという社会にあって、<富裕ゾーン>と<スラム・ゾーン>を分けるのは、左腕に埋め込まれたボディ・クロックの刻む余命時間だ。貨幣の代わりに"時間"が唯一の"通貨"となり、《残り時間=余命の時間》によって完全に2つに分けられたその世界で、一部の富裕層は永遠の命を享受し、圧倒的多数のスラム・ゾーンの住人たちは熾烈なサバイバルの日々を強いられている。『TIME/タイム』は、そんな時間の"壁"が存在する世界の謎に挑むスラム・ゾーンの青年と、その青年に魅かれていく富裕ゾーンの大富豪の娘のスリリングな逃走劇を、スケール感満載のアクションと見事に考え抜かれたサスペンスで描いたエンタテインメント大作」

 この作品の前半で僕がいだいた感想は、「ミッション・8ミニッツ」と同様、荒唐無稽だったのだが、なぜだがこの世界感に居心地の良さを感じてしまい、あっという間に109分が過ぎて行った。アクションや恋愛の模様はもちろん楽しめたが、おそらく僕が気に入ってしまった最大のポイントは、スラム・ゾーンに住むウィルが、自分のためではなく不平等の世界を正すための行動、平たく言えば、世直しを行っていく一生懸命な彼の姿勢と思考があった。

 これも映画の楽しみ方のひとつなのです。