2004年4月4日

 

 

 2004年3月11日、スペインの首都マドリードで、犠牲者190人、負傷者1500人を出す列車同時爆破テロが起きた。爆弾はアトーチャ駅に到着した列車と、同駅に通じるマドリード郊外のエルポソ、サンタエウヘニア両駅のホームか列車に仕掛けられ、ほぼ同時刻に爆発、車両は大破した。当初政府はスペイン北部バスク地方の独立を求めるテロ組織「バスク祖国と自由」(ETA)の反抗を示唆していたが、国際テロ組織アルカイダとつながりがあるとされる組織「アブハフス・アルマスリ旅団」の犯行声明が英国に届いたこともあり、イスラム系組織の関与も含めて捜査中である。


 列車テロを題材にした派手な作品といえば、

 

暴走特急」<UNDER SIEGE 2>

1995/アメリカ 

監督:ジェフ・マーフィー 

主演:スティーヴン・セガール

 

がある。
 作品概要は、ロッキー山脈を走り抜ける米国有数の豪華列車、グランド・コンチネンタルが突如、凶暴なテロリスト集団に乗っ取られる。しかしその列車には、元米海兵隊の対テロ専門家、ケイシー・ライバック(スティーヴン・セガール)が偶然乗っていた。ここからは、ケイシーの活躍が始まり人質の乗った車両を切り離しテロリストたちをやっつける。そしてラストは、単線である支線の向こうから石油を満載した貨物列車が迫り、ケイシーの乗っている車両と派手に正面衝突するのだが・・・
 ケイシーが、鉄橋から落ちていく列車から脱出する特撮はなかなか迫力があった。正面衝突してから落下するまでは、もし実際に同じことが起きたとすれば、ほんの何十秒かのできごとだろうが、そこは映画。十分以上のシーンにも誰も文句は言いません。


アバランチ・エキスプレス<AVALANCHE EXPRESS>

1979/アメリカ 

監督:マーク・ロブスン 

主演:ロバート・ショウ/リー・マーヴィン)、

 

大陸横断超特急<SILVER STREAK>

1976/アメリカ 

監督:アーサー・ヒラー 

主演:ジーン・ワイルダー/ジル・クレイバーグ)、

 

アトミック・トレイン<ATOMIC TRAIN>

1999/アメリカ 

監督:デヴィッド・ジャクソン/ディック・ローリイ 

主演:ロブ・ロウ)、

 

カナディアン・エクスプレス<NARROW MARGIN>

1990/アメリカ 

監督:ピーター・ハイアムズ ジーン・ハックマン)

 

などの作品も、やはり「暴走特急」のラストのように派手なシーンがある。


 この他にテロでもなく派手でもないが、列車を舞台にした作品で時間を費やす価値のある作品をいくつか紹介したい。


 まずは

 

北国の帝王<EMPEROR OF THE NORTH>

1973/アメリカ 

監督:ロバート・アルドリッチ 

主演:リー・マーヴィン/アーネスト・ボーグナイン

 

だ。この作品などは男たちの熱い執念の物語だった。ストーリーは、1930年代の大不況期のアメリカ中西部が舞台。列車にただ乗りする浮浪者の帝王と、それを阻止する車掌との戦いにすぎないのだが、この男たちの誇り高きプライドとそれを守ろうとする心意気はものすごく僕の胸にも響いてきた。ちなみに、アメリカで19世紀の終わりから20世紀初頭の世界的な不景気の時代、土地から土地へ働きながら渡り歩いた渡り鳥労働者のことをホーボーと呼ぶ。ホーボーの主な移動手段が、鉄道であり無賃乗車だったのである。
 

 名探偵エルキュール・ポワロの活躍を描いた誰もが知っているアガサ・クリスティの原作

 

オリエント急行殺人事件<MURDER ON THE ORIENT EXPRESS>

1974/イギリス 

監督:シドニー・ルメット 

主演:イングリッド・バーグマン ショーン・コネリー アンソニー・パーキンス他

 

は、原作があまりにも有名なため答えを知りながら観た人が多かったに違いないが、それでも豪華俳優人たちの演技を観ることで作品を楽しめたのではないだろうか。


 細菌に感染した一人のゲリラが乗りこんだことにより列車内でパニックが起きる

 

カサンドラ・クロス」<THE CASSANDRA CROSSING>
1976年/イタリア・イギリス

監督:ジョルジ・パン・コスマトス
主演:リチャード・ハリス/バート・ランカスター/ソフィア・ローレン

 

は、70年代にはやったパニックものの作品でも毛色が変わっていて緊張しながら観ていた記憶がある。


 古い作品が並んでしまったので、最近では何があるかと思ってみたものの、列車がストーリーの中心に位置付けられるような作品は観ていなかったが、列車がきっかけになり物語が進行していく作品はいくつかあった。「スライディング・ドア」「アンブレイカブル」「あなたが寝てる間に」などは楽しむことができた作品だった。

 話は変わるが、日本での初めての鉄道事故は、1874年10月11日に起きている。新橋駅構内で横浜からの列車が到着する際、ポイント通過時に機関車と貨車1両が脱線し転覆。このとき負傷者はなく、原因はポイントの故障と考えられた。
 では世界初の鉄道事故はというと、1830年9月15日、イギリスで起きた旅客轢死事故だった(死者1名)。皮肉にも世界初の本格的な旅客鉄道の公式開業日に起きている。イギリス・パークサイド駅付近で、鉄道会社の要請を無視して停車時間中に線路内に立ち入り転倒して逃げ遅れはねられたものだった。亡くなったのは、鉄道会社の設立の功労者である代議士だった。
 世界で最大規模の犠牲者を出したのは2つある。1917年12月22日、フランス・列車脱線転覆事故(死者543名)。フランス・セニストンネル線モダース付近で、クリスマス休暇の兵士を乗せた臨時列車が下り勾配を暴走し、急曲線木橋上で脱線転覆炎上。犠牲者数は425、534、800名以上など諸説がある。原因としては、急勾配区間を下る際のブレーキの制御ミスか故障によるものといわれているが、超満員による重量オーバーや、軍の命令による無謀運行も指摘されている。
 もうひとつは、1981年6月6日、インド・バグマティ川列車転落事故(死者800名以上?)。インドのビハール州で列車がバグマティ川の鉄橋から川へ転落したらしいのだが、事故概要や被害者数は不詳とのこと。原因は運転手が線路上に牛を発見し急停車をかけたためと言われる。なお、ギネスブックでは犠牲者数史上最悪の鉄道事故として記されているようだ。
 日々乗車している電車の事故やテロには遭いたくないものです。不審者や不審物を見かけたら、駅係員に必ず知らせましょう。それが身を守ることにつながるのですから。