2008年5月3日

 4月27日、午前7時32分、京急久里浜に今年も到着した。今年で4回目の20キロウォークの始まりだ。しかし今年はあいにくの雨。この4年間では初めての天候不順。変わらぬメンバー3人は待ち合わせの喫茶店でしばらく雨の止むのを待った。その甲斐もあり、音を立てて降っていた雨空が曇り空へと変わった。
 時刻は8時10分過ぎ。昨年はタイムカプセルを埋めた場所の特定ができず、掘り起しを途中で断念したのだが再度挑戦し念入りに探してはみたものの、やはり見つけることはできなかった。
 時刻は8時40分。この頃には天候も完全に回復し、雨の心配はまったくなくなっていたが、3週間ほど前に腰を痛めていたこともあり、20キロの道のりを歩きとおすことに不安があったため、今回は三崎口まで電車で行き、そこからのスタートなった。
 目的地の城ヶ島までの距離は7キロ弱。いつもの3割の距離だったが、途中から心配していた腰痛を感じ歩行速度も落ちたため、目的地に到着したのは11時半となり、例年とあまり変わらない時刻となってしまった。腰痛を癒すため昨年と同じ食事処に直行しビールを注文。今年もまた居酒屋状態に突入した。イカの白子サービスが昨年と同様に出され、もろもろの肴を満喫し磯へ出る。2時間の釣果はベラ1匹となり帰路へ着いた。
 
 

 翌日は腰痛を鎮めるため一歩も外出せず、まさに映画三昧の1日となった。数本を観た中で

 

しあわせ

<HASARDS OU COINCIDENCES>

1998/フランス・カナダ 

監督:クロード・ルルーシュ

主演:アレサンドラ・マルティネス/ローラン・イレール

 

という作品は心に沁みる作品だった。
 主人公のミリアムは夫に去られてしまい失意の中にいる。辛い現実から逃れるように、数日間ではあるが、息子を連れて旅に出る。その旅先で出会ったのが画家のピエールだった。二人の波長はぴったりで彼女は再びしあわせに満ちた生活を取り戻す。しかしそのしあわせは、息子と婚約者のピエールを事故で失うという最悪の結末を迎えることで一瞬のうちに瓦解してしまう。
 いてもたってもいられずに傷心が癒えることはないことを承知で、彼女は息子が行きたがっていた場所、そして会いたがっていた人に会うためにビデオカメラをもって旅に出る。北極熊をカメラに収めるために無謀にも観測車から外に出てしまいガイドから叱責されるシーンでは、彼女のとった行動はごく当たり前の行動して理解でき、その気持ちも痛いほど僕には伝わってきた。ホッケー選手やアカプルコのダイバーを訪ねたりしながらの息子とピエールを想う旅は続き、彼女の心の機微の細かい描写がいくつものシーンとして登場する。
 彼女がピエールと出会いしあわせを手繰り寄せていく作品前半で、「幸せを貯金できたらいいのに。そしたら困った時にも引き出せる」と、さりげなくいう台詞は、本当に素敵だったし、自然な台詞だなと感じた。誰もが一度は似たようなことを思ったことはあるのではないだろうか。しかし、失意のドン底に落とされた彼女の旅する姿を観ていくにつれ、この台詞を余計に思い出してしまい、本来しあわせに満ち溢れているはずのこの言葉が、静かに深く僕の心に突き刺さってくるのを感じた。
 彼女は最愛の息子とピエールを失ってしまった。今後、彼女が心から100%のしあわせを感じることはもうできないに違いない。しかし短い期間ではあったものの、しあわせの貯金を作ることはできたはずだ。そのかけがえのない貯金を大切に、そしていとおしく想いながら歩んでいくであろう今後の彼女の姿を想いつつ作品を観終えた。