2012年6月21日
これまで僕が観たアメリカン・フットボールを題材にした作品には比較的○評価が多い。
「ギャングスターズ 明日へのタッチダウン」
<GRIDIRON GANG>
2006/アメリカ
監督:フィル・ジョアノー
主演:ザ・ロック/イグジビット)
もそのひとつになる。
この作品は、すでにドキュメンタリー作品として制作されているものを映画化したものになる。エンドロールでは、そのドキュメンタリー映像が流されるのだが、台詞はほぼそのままであり、また、個々の映画出演者たちも実物に良く似た人たちが選ばれていた。
<作品概要>
少年院では、再犯率を低下させる更生プログラムは組まれてはいるものの、退院した彼らが再入院する確率は高い。教官として登場するザ・ロックは、そんな少年たちへの教育の一環としてアメフトを取り入れることを思いつく。アメフトを通し規律や責任感、やり遂げる意志、チームワークの大切さ、そして喜びを知ってもらうことを目的としていた。しかし何よりも彼がしたかったことは、彼ら自身にプライドと自信を持たせることに他ならなかった。
エンディングではザ・ロックのナレーションが流れる。
「やがて彼らは出所した。24人が復学、3人が定職に就き、施設に戻ったのはわずか5人だけだった。ジュニアは家具会社に勤め家族と共に暮らしている。ケルヴィンは傷が癒え来期は高校でプレーする。ペレスとマドロックは更生できず、再び少年刑務所に収容された。ケニーは高校に行き母親と暮らしている。レオンは売人から足を洗い今年から高校でプレーの予定。バグは街で撃たれて死んだ。ウィリーは奨学金を得て選手を続ける。街から遠く離れた高校だ」
この作品がフィクションであれば、アメフトに参加した少年全員は更生していることだろう。しかし、現実は違う。とはいえ、再入院した少年の数が少ないことは確かである。熱血教官の思いは少年たちにはもちろん、僕にも十分届いた。とても熱い作品だった。
僕がこれまで観たアメフト作品でお勧めの作品は下記の通り。
ちなみに、元アメフト出身の刑事が事件を解決し・・・、あるいは、アメフトの試合や映像が少しだけ含まれているような作品は含めず、アメフトが完全に軸になっている作品のみを対象とした。
「ロンゲスト・ヤード」<THE LONGEST YARD>(1974)
「ノース・ダラス40」<NORTHDALLASFORTY>(1979)
「ルディ涙のウイニング・ラン」<RUDY>(1993)
「熱き愛に時は流れて」<WHENIFALLINLOVE>(1988)
「タッチダウン'90」<THE BEST OF TIMES>(1999)
「バーシティ・ブルース」<VARSITYBLUES>(1999)
「エニイ・ギブン・サンデー」<ANYGIVENSUNDAY>(1999)
「タイタンズを忘れない」<REMEMBERTHETITANS>( 2000)
「マーシャルの奇跡」<WE ARE MARSHALL> (2006)
「フェイシング・ザ・ジャイアント」<FACING THE GIANTS>(2006)
「エクスプレス負けざる男たち」<THE EXPRESS>(2008)
「しあわせの隠れ場所」<THE BLIND SIDE>(2009)
最後に日本の少年院について概観する(参考資料:平成23年版 犯罪白書)
◆少年院の種類
<1>初等少年院
心身に著しい故障のない,おおむね12歳以上おおむね16歳未満の者
<2>中等少年院
心身に著しい故障のない,おおむね16歳以上20歳未満の者
<3>特別少年院
心身に著しい故障はないが,犯罪的傾向の進んだおおむね16歳以上23歳未満の者。
ただし,16歳未満でも,受刑者は収容することができる。
<4>医療少年院
心身に著しい故障のある,おおむね12歳以上26歳未満の者
◆処遇区分
<1>一般短期処遇
早期改善の可能性が大きいため、短期間の継続的、集中的な指導と訓練により、その矯正と社会復帰を期待できる者(収容期間は原則として6月以内)
<2>特修短期処遇
<1>に記載の者に該当する者であって、非行の傾向がより進んでおらず、かつ、開放処遇に適するもの(収容期間は4月以内)
<3>長期処遇
短期処遇になじまない者(収容期間は原則として2年以内)
◆少年院入院者の人員
種類別総数:3619人
(初等少年院650人/中等少年院2829人/特別少年院62人/医療少年院70人)
処遇別総数:3619
(一般短期処遇899人/特修短期処遇34人/長期処遇2686人)
◆少年院に入った少年の再犯率について
調査対象:2004年1~3月に全国の少年院を出た18~19歳の644人
結果:38.5%にあたる248人が、25歳までに罰金刑以上の刑事処分を受けていた
処分内容:実刑97人/執行猶予付き98人/罰金53人 (2度以上繰り返した人93人)
犯罪内容:
窃盗73人/傷害54人/覚醒剤取締法違反25人/自動車運転過失致死傷等22人
◆備考
少年時に窃盗や傷害、薬物犯罪をすると、同じような罪を繰り返す比率が高かった。
少年院を出て20歳まで保護観察を受けることが原則となる。保護観察終了時点で、仕事をしたり学校に通ったりしていた人は、無職の人に比べて再犯率は低かった。
記録をたどれた488人中、無職者の再犯率は48%、有職者は35%、学生は22%だった。