2003年6月27日
実話を元にした作品は、「実話」だとの予備知識があるためにより面白さを感じるのだろうか。それとも単に脚本がいいからだろうか。最近観た作品で言うと、「トンネル」「プロフェシー」は時間を費やすだけの価値があった。
「トンネル」<DER TUNNEL>
2001/ドイツ
主演:ハイノ・フェルヒ/ニコレッテ・クレビッツ
監督:ローランド・ズゾ・リヒター
1961年8月、東西ドイツを分断したベルリンの壁。西ドイツへと脱出した人たちには、東ドイツに家 族や恋人を残してきた人たちも多かった。この作品は、東ドイツに残っている愛する人たちを取り戻すため、壁の下に145m
のトンネルを掘り29人を東側から脱出させることに成功するというものだった。実際にトンネルを掘ったこともすごいことだが、偽造パスポートで東に入り、家族たちと脱出方法の連絡をとりあう場面では、あのようなやりかたをしていたのかと興味を持って観た。その方法はまるでスパイ映画のシーンだった。壁などできなければ多くの人たちの命が失われることなどなかった。1989年11月9日、ベルリンの壁はついに崩壊した。引き裂かれた人々にとってはとても長い
年月だっただろう。エンディングのときに、スーパーが流れ脱出を図った人々の現況が流される。 この作品については、実話だからこそ面白さが倍増したものだと感じた。
「プロフェシー」<THE MOTHMAN PROPHECIES>
2002/アメリカ
主演: リチャード・ギア / ローラ・リニー
監督:マーク・ペリントン
UFO現象や怪奇現象で有名な地域ウェスト・バージニア州ポイントプレザントで実際に起きた数々の怪奇現象を題材にした作品だ。妻メアリーは運転中、突然悲鳴を上げハンドルを切り事故を起こした。
病院で目を覚ましたメアリーは夫ジョンに不可解な問いを残しこの世を去った。2年後、ある晩ジョンは、ワシントンDCからリッチモンドへ向かっていたのだが、1時間後、気がつくと、600キロも離れたウェスト・バージニア州ポイントプレザントにいた。 やがて、彼はこの町で起きている不可解な事件と妻の言動につながりがあることを知る。
プロフェシーとは予知という意味だ。この作品では、ジョンが妻の死から、やがて大惨事につながるいくつものサインに遭遇しついには惨事が起きるまでを描いていた。
僕は世界のどこかに予知能力者が存在することを否定しないが、僕自身はそのような能力を欲しいとは思わない。宝くじの番号を予知できたらと思うことはあるが、きっと予知能力とはそのような邪念においては発揮されないものと僕は思っている。
では、僕が観てきた実話を元にした作品の中で、お勧めしたいものをいくつかあげてみる。
「ストレイト・ストーリー」
<THE STRAIGHT STORY>
1999/アメリカ
監督:デヴィッド・リンチ
主演:リチャード・ファーンズワース/シシー・スペイセク/ハリー・ディーン・スタントン
10年来仲違いをしていた兄弟だったが、兄が心臓発作で倒れたことを知った73歳の弟は、兄と和解するために時速8kmのトラクターで560km離れたウィスコンシン州へと向かう、という心温まるロード・ムービーの作品だった。わだかまりがありながら、そして照れくささもありながらも、お互いを思いやる兄弟であるからこそ持てる気持ちがよく伝わってくる作品だった。弟を演じたR・ファーンズワースは、79歳にしてニューヨーク批評家協会賞で最優秀主演男優賞を受賞したが、これが遺作となった。
「ロレンツォのオイル 命の詩〈うた〉」
<LORENZO'S OIL>
1992/アメリカ
主演:ニック・ノルティ /スーザン・サランドン
監督:ジョージ・ミラー
医学の知識もない夫婦が難病と言われる副腎白質ジストロフィーに冒された息子を救うため、ついに常識を超えた努力の末、その症状に効く薬を作り出す。 親が子に対して強く思う気持ちをストレートに描いていた作品だった。
「ゴースト&ダークネス」
<THE GHOST AND THE DARKNESS>
1996/アメリカ、
監督:スティーヴン・ホプキンス
主演:ヴァル・キルマー/マイケル・ダグラス
1898年、イギリス政府の東アフリカ鉄道計画も最終段階に入り、橋梁技術者ジョン・パターソンはツァボ河の橋建設を指揮するため現地に飛ぶ。しかしそこでは、3カ月で30人以上の人間がライオンの犠牲になっている。
2匹のライオンは、アフリカ人が夜の悪魔と恐れるゴースト、ダークネスと呼ばれていた。そしてハンターとライオンの生死をかけた戦いが始まる。知恵を持つ人間と狡猾なライオンとの生死をかけた戦いには、畏敬の念をもって観てしまった。
「ブラス!」<BRASSED OFF>
1996/イギリス
監督:マーク・ハーマン
主演:ピート・ポスルスウェイト/ ユアン・マクレガー
炭坑夫によって結成されたイギリスの歴史のあるブラスバンド、グライムソープ・コリアリー・バンドの実話に材を得た作品だ。炭坑の閉鎖に不安を抱えつつも、コンクールでの優勝を目指すバンドの人々の群像を、時にユーモラスに、時にしみじみと描き出す。熱心に楽団の指導にあたる音楽至上主義の指揮者や、新加入の女性奏者に恋をする若者、妻に退団するよう言われながらも、言い出せない中年男など、それぞれのキャラクターを細やかに描写。味わい深い人間模様がなんとも良かった。
このほかにも実在人物をモデルにした作品や本人の手記を元にした作品などで、楽しめた作品は多い。今回はそれらを記して終わる。 特に青印がお勧めだ。
「タイタンズを忘れない」
「ミッドナイト・エクスプレス」
「あの空に太陽が」
「アルカトラズからの脱出」
「ブルベイカー」
「エレファント・マン」
「ラスト・レター」
「夕陽に向って走れ」
「新アドベンチャー・ファミリー 白銀を越えて」
「衝動殺人 息子よ」
「レナードの朝」
「生きるために」
「星の流れる果て」
「シンドラーのリスト」
「マザーズ・プレイヤー」
「リービングラスベガス」
「シャイン」
「ザ・ハリケーン」
「アポロ13」
「U-571」
「インサイダー」
「グリーン・フィンガーズ」
「ブラックホーク・ダウン」
「ビューティフル・マインド」
「ミュージック・オブ・ハート」
「パッチ・アダムス」
「シビル・アクション」
「パーフェクト・ストーム」
「ショーシャンクの空に」
「クンドゥン」
「ライトスタッフ」
「マネートレーダー・銀行崩壊」
「13デイズ」「スターリングラード」
「サンキューボーイズ」
「ブロウ」
「悪魔の棲む家」
「13日の金曜日」
「大脱走」
「あなたに降る夢」
「クイズ・ショウ」
「運命の逆転」
「フリーフォール:FLIGHT174」
「ジョーイ」
「ムーンライト&ヴァレンチノ」
「プライベート・マター 幸せの行方」
「ワンス・アンド・フォーエバー」
「ラスト・アメリカン・ヒーロー」
「トム・ホーン」
「エイト・セカンズ 伝説の8秒」
「ブレイブハート」「ケイティ」
「キッシンジャー&ニクソン 合衆国の決断」
「プレジデント・トルーマン」
「天と地」
「グッドモーニング,ベトナム」
「暴走特急」
「ラブ・アンド・ウォー」
「ローズ」
「愛と哀しみのボレロ」
「エゴン・シーレ 愛欲と陶酔の日々」