2008年6月29日

 

 始まりから終わりまで、とにかく間髪なしに引き込まれてしまう作品もあれば、今回の作品ようにオチが効いている作品もあるが、前者のような作品が僕の◎作品となる。今回は、後者に属する最近観た作品だ。


 「リスキーブライド/狼たちの絆」<BESTMEN>

1990/アメリカ

監督:タムラ・デイヴィス 

主演:ショーン・パトリック・フラナリー/ドリュー・バリモア 

 

 かつての高校時代の仲間たちが銀行強盗を起こし逃亡するが、やはり警察のほうが一枚上手だったというのが、ラスト手前。ラストはここまでの結末を考えるとハッピーエンドとはいえないが、犠牲になった仲間たちの想いを受けて逃げ切った二人の新しい生活には、友情という一文字が添えられるていることに胸を熱くさせられた作品だった。ラストは異なるが、「俺たちに明日はない」の現代版ともいえる。


 
「クレイジー・イン・アラバマ」<CRAZY IN ALABAMA>

1998/アメリカ

監督:アントニオ・バンデラス 

主演:メラニー・グリフィス/デヴィッド・モース/ロッド・スタイガー 

 

ルシールは夫の暴力に耐えかねて彼を殺害し、夫の首を持ち夢の都ハリウッドに向かう。そしてチャンスをつかみ成功を収めるが、結局は逮捕され裁判にかけられる。
 陪審員が下した判決がまさにラストのオチ。ルシールは気立てがよく、よく気がつく女性だ。だが彼女の魅力は何よりも一生懸命で正直なところ。彼女の行く先々で彼女に出会った人たちは、彼女に惹かれ会話も弾む。作品としてはロードムービーのような印象を受ける作品だ。
 夫殺害には理由があるのだが、首を持って旅をするという、一種異常な行動は、キャスリーン・ターナーが「シリアル・ママ」で演じた連続殺人ママとあまり変わらない。ラストのオチは、まさに連続殺人ママが受けた評決と同じだった。このラストの判決が不自然に思われなかったのは、正直で一生懸命にいきる主人公の心情を僕自身が理解していたからだろう。


 「フレイルティー/妄執」<FRAILTY>

2001/アメリカ 

監督:ビル・パクストン 

主演:マシュー・マコノヒー/ビル・パクストン 

 

 この作品のオチはまさにラストにある。実に恐ろしいラストを考えたものだ。ある嵐の夜、米テキサス州ダラスのFBI司令部に一人の男が訪れる。捜査官ドイルは、全米を震撼させているテキサスの連続殺人事件を担当していた。ドイルはその男から想像もつかないような話を聞かされる。その後捜査にのりだし事件は落着する。
 この男が語る話はおぞましく不快なものだったが、実は本当に恐ろしいオチはラストに控えていた。前半描かれる普通の家族の姿から、まったく想像もつかない別の家族の姿がゆっくりと確実に後半描かれていくさまは、監督の力量ということになるのだろう。
 
 今回あげた3本は、オチのインパクトが大きなものを取り上げたが、ジャンルがサスペンスやミステリーなどになってしまうのはやむを得ないところだろう。


 オチという観点からいえば、

「世にも不思議なアメージング・ストーリー」

「フロム・ザ・ダークサイ」

「アウター・リミッツ」

「ミステリー・ゾーン」

「テイルズ・フロム・ザ・クリプト」

「レイ・ブラッドベリSFシアター/デンジャラス・ゾーン」

「ザ・ヒッチハイカー」

などのオムニバスストーリーはまさにオチが命ともいえる。昔読んだ星新一氏のショートショートのオチも秀逸だったことを思い出す。


 では最後にオチといえばやはりジョーク。手元にある「世界の日本人ジョーク集」早坂隆著から短くて思わずにんまりする2作をどうぞ。

 

1.画廊にて

 暮れも押し迫った12月の寒い夜、ある日本人がパリの画廊に立ち寄った。
店内に入った彼は、ゴッホやピカソ、ゴーギャンなどの名画を手当たりしだいに買い込んだ。
 カードで支払いを追えた彼は呟くようにしてこう言った
「よし。クリスマスカードはこんなもんでいいか」

 

2.抗議

 ある時、アメリカの新聞が
「日本人は表現が曖昧で、何を言いたいのかハッキリしない。日本人は堂々と主張のできない民族だ」という題名で特集を組んだ。
 数日後、日本人らしき人物からの投書があった。
 それにはこう書かれていた。
「先日の貴誌の記事についてですが、より幅広い議論を検討していただいた上で、前向きに善処していただければ幸いと存じますが、いかがなものでしょうか。匿名希望」