2004年9月11日

 先月休暇を取り、懐かしのタイ・バンコクへ家族とともに旅立った。

 僕の機内での楽しみはふたつ。ひとつはビール。ひとつは映画。ところがだ。このバンコク行きは7月のシアトル出張で使ったノースウエストだったため、残念なことに行きも帰りもまったく上映作品が同じだった。ノースウエストのサイトをインターネットで検索し、機内上映作品が同じであることは事前にわかっていた。しかし但し書きとして、上映作品は急遽変わることもあります、とあったので、それを期待していた。また、月も変わっていたので、きっとサイトの更新がされていないだけかもしれない、と、なかば強引に思い込むことにしていた。だが、上映されたのは、やはり同じ作品だった。ああ、つまらん、つまらん。そのお陰でビールの本数が増えてしまった。
 バンコクでは、かつて家族でよくいった場所へと赴き、しばしノスタルジーに浸ることができた。子供たちが楽しみにしていたひとつに、エビの釣堀があった。そこでは、釣ったエビをその場で料理してくれる。やはり、自分たちが釣った獲物はうまい。ここでも、ビールのシンハービアーがすすむ。それに、パクチや鷹の爪の入ったムー・ヤーン、ヤム・ウンセン、パクブン・ファイデンをはじめとした辛目の数々の品々がさらにビールの味をを引きたてる。子供たちといえば、カオ・パット・バイ・カパオ、そして20センチクラスのエビ15匹とコーラのおかわりし放題と、家族でさんざん飲んで食べて釣っても、1000バーツ(約3000円)なら、大満足。
 

 さて、ここからはバンコクの映画館の話だ。映画館は巨大ショッピングモールの中にある。ちなみに、暑い国なので、ジェットコースターがゴォーという音を立てて屋内で走っている。屋上には大きな流れるプールと長いウォータースライダーもある。

 映画館に話を戻す。形式はシネマコンプレックス。同時に12つの作品が上映されており、外国の作品が多い。僕が行ったときの外国の上映作品は、「Village」「Alien vs.Predator」「The Bourne Supremacy」だった。この他にも香港作品が3作品上映されていた。欧米作品の場合は、30分時間をずらしての2個所上映となっていた。ひとつは、タイ語への吹き替え版。もうひとつは、言語は欧米言語のままで、字幕がタイ語版。チケットを買う客の流れを見ていたら、字幕を選んでいる若者の方が圧倒的に多かった。

 タイでの外国作品の封切りはほぼ外国での封切りと同じ時期なので、映画好きにはたまらない。値段も安い。なんと120バーツ(約360円)。じゃあ、映画館がぼろいのかというと、とんでもない。日本のパンテオンクラスの映画館とまったく変わらない。椅子良し音響良し。そしてさらに全席指定で、もちろん自分で席を指定できる。ただし、クーラーはこれでもかというほど効いているので要注意。それと、たまに携帯電話が鳴り響くこと。
 上映が開始されると、日本と変わらず製品のコマーシャル。そして他作品の予告へと続くのだが、これが結構長い。25分はあった。さて、そろそろ始まるかと思うとまだ甘い。次の場面で観客がいっせいに立ち上がる。僕のタイ映画館最後の鑑賞から、7年が過ぎていたこともあり、この習慣をすっかり忘れていたこともあり、一瞬、"なんだ、もう帰るのか?まだ本編は始まっていないじゃないか!何考えているんだ!"と思ってしまったのだが、すぐに見慣れた方がスクリーンに映し出された。そう、タイのプーミポン国王だった。タイ国王は国民からとても敬われ慕われている。従って、映画館だけでなく、街中でも国家が流れるとほどんどの国民は立ち止まり清聴する。

 

 いよいよ

 

エイリアンVS. プレデター」<Alien vs.Predator>

2004/アメリカ
監督:ポール・W・S・アンダーソン
主演:サナ・レイサン/ラウル・ボヴァ/ランス・ヘンリクセ

 

が始まった。

 作品はやはり各々の独立した作品としても完成度が高いこともあり、2大キャラクター豪華共演版も充分堪能できた。ただ、あえて難癖をつければ、導入挿話が長い。そもそもネームバリューが高いキャラクターなので、なぜ人間たちが、なぜ2大キャラクターがそこにいるのかは、極論を言えばいらなかったかもしれない。もちろん舞台設定の説明はストーリー進行上、伏線として必要であることは言うまでもないのだが、やはり思い切って短くした方が、トータルで考えた場合、このような作品ではより好感度は上がったのではないだろうか。
しかし、ラストは思わずニンマリしてしまう予想通りの落ちだった。監督が僕でも、きっとこの落し方にしただろう。落ちが観客に読まれてしまうストーリーではあるが、観客が期待する落ちを、敢えて提供するというのもサービス精神旺盛で僕はいいと思う。「ジェイソンvsフレディー」のあの落ちだって、きっと観客は期待していたはずだ。そして、見事観客の欲する通りの落ちとなっている。そう、それで、いいのだ。観客あってのエンターテインメントなんだから。
 ところで、この映画を観た前日は、まだタイに残っている友人たちと酒を酌み交わし、多いに盛り上がった。帰宅が午前2時になってしまったので、この映画館は疲れを癒すのには最適な場所だった。巨大ショッピングモールには妻と2人で出掛け、僕が映画を観ている間、妻はショッピングを満喫。子供たちは、家族ぐるみで付き合いのあった家庭に泊めてもらっていたので、子供同士で遊んでいた。映画鑑賞とショッピングを終了した僕たち夫婦は、巨大モールを後にし、子供たちを迎えに行き、そのままの足で例のエビ釣りへといった。本当にあっという間の8日間だった。きっと、また来年もタイに行く気が今からしている。