2013年9月14日

マシンガン・プリーチャー

<MACHINE GUN PREACHER>

2011/アメリカ

監督:マーク・フォースター

主演:ジェラルド・バトラー/ミシェル・モナハン

 

ずいぶんふざけたタイトルだなぁ~、内容も期待できないだろうな、というのが最初の印象だった。しかし公式サイトに目を移し、この作品が今も継続されている実話である事を知る。「マシンガン牧師」が実在していることになるのだが、マシンガンと牧師の組み合わせはどうもピンとこない。事実を知りたくなった。

 

 <公式サイトより>
【危険に満ちたアフリカの内戦地域で、子供たちの救出活動を続けている1人のアメリカ人がいる。彼の名は、サム・チルダース。元麻薬売人の彼はある事件をきっかけに改心し、ボランティアの一環で訪れたスーダンで、ゲリラの襲撃によって親を亡くした子供たちの悲惨な現実を目撃する。酒と麻薬に溺れ、バイクで暴走し、罪を犯しては刑務所の厄介になる生活を繰り返してきた男が、なぜ、そのような後半生を歩むにいたったのか?】

 

犯罪者の社会復帰は簡単ではない(日本の平成24年版犯罪白書を調べると、刑務所退所時の無職割合は39.2%。この数字は日本のものであるため、このままアメリカに適用できないのだが、近似値、あるいは、さらに高いと推測される)。


1962年6月生まれのサム・チルダースの場合も無職が続いたが、彼の努力が実り建設現場の職を見つけ、同時にドラッグと酒からも遠ざかることに成功した。数年後には、自ら建設業を営み子供にも恵まれる。それらのきっかけが、妻と行く礼拝だった。彼は敬虔な信者となっていく。

 

人生が好転し穏やかな日々が続く中、彼の転機となる日がやってくる。
1998年、彼は南スーダンのYei村を訪れる。当時アフリカは第二次スーダン内戦の真っ只にあった。彼は本国の司祭に促され、内戦の被害にあった住居を修復する派遣団体に参加する。しかし、そこで見たものは地雷でバラバラになった子どもの死体だった。


南スーダンではLRA(神の抵抗軍)という組織により、推計によれば、20年間で4万人以上の子ども達が拉致され、数十万人にも上る市民が虐殺されている。
現実を目の当たりにした彼は、内戦で孤児になった子供たちのために孤児院を造ることを決意し実行する。そして「東アフリカの天使たち」と呼ばれる孤児院を完成させた後、拉致された子供たちの救出を行うため、自ら武装し部隊を作りLRAとの戦いに挑んでいる。

 

2011年、1000人以上の子どもの収容経験を持つ「東アフリカの天使たち」は南スーダンで最も大きい孤児院になった。今日でも200人以上の子どもたちがその孤児院で生活しているという。

 

この作品のエンディングには彼自身が出演し彼の信念を語るのだが、彼の行動に批判する人も多いと言う。「神のしもべが銃を持ち戦うことは正しいことではない」という批判だ。
この批判への彼の回答は、きれいごとでは済まされない現実を直視した彼の想いが表れていた。

 「しかし旧約聖書には、戦士や兵士として戦う神のしもべがいくらでも登場する。私は、自分の行いがすべて正しいと言うつもりはない。が、誰かに誘拐されたあなたの子供を私が取り戻してあげると言ったら、あなたは何と答えるだろう?」

批判する人たちは、現実を直視した上で、どのような回答を彼に用意することができるのだろうか。